平成661日目

平成2年10月30日(火)

1990/10/30

【ネルソン・マンデラ氏】国会演説

政府の招待で来日中のアフリカ民族会議(ANC)のネルソン・マンデラ副議長が30日正午すぎから、衆院本会議場で衆参両院議員を前に国会演説をした。

マンデラ氏は「日本政府がアパルトヘイト(人種隔離)の撤廃を主張し、アパルトヘイト問題の解決に向けての平和的プロセスを支援していることを多とする」と述べ、日本のこれまでの南アフリカの人種差別撤廃に対する貢献に謝意を示した。その上で「南アフリカでは再建のための計画的かつ緊急なプログラムが必要」と指摘し、日本の広範な支援を要請した。

外国要人による国会演説は5月の盧泰愚韓国大統領以来だが、国賓、公賓以外では、昭和60年の中国全国人民代表大会常務委員長の彭真氏に次いで2人目。国会としても異例の対応で、梶山法相の人種差別発言後、米国を中心に批判が高まっている事情を考慮し、人種問題に積極的に取り組む姿勢を示したものだ。

マンデラ氏は、ANCについて「すべての南アフリカ人とわが国の運命を決める。という役割を果たしている」と重要性を強調。その基本政策は「南アフリカの対立問題の平和解決」であることを示した。

その実現には「社会的安定は不可欠」とし、教育の充実や貧困の追放に努めていく考えを表明した。日本に対しては「一層の支援プログラムを通じ、アパルトヘイト廃止に向けての呼び掛けを強化」するよう訴え、その方策として南アフリカへの開発援助を求めた。また日本の議会開設100年へ祝意を述べた。

国会演説に先立って、桜内衆院議長が「世界各地を歴訪し、アパルトヘイト撤廃のため献身的な努力を重ねていることに深く敬意を表す」と歓迎の言葉を述べた。演説後、土屋参院議長は「人種差別撤廃に対する強い信念と高まいな所見を承ることができ、深い感銘を覚えた」と感謝の意を示した。《共同通信》




【朝鮮総連】「工作船はでっちあげ」

福井県美浜町の海岸に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のものと思われる小船が漂着していた事件で、県警警備部などが漂着船を北朝鮮の特殊工作船小船と発表したことに対し、在日朝鮮人総合連合会県本部は30日、県警本部を訪れ「事件はでっち上げで両国関係を妨害する行為はやめるべき」と申し入れをした。

同総連の朴聖民組織部長ら8人が社会党の坂井哲夫県議とともに同本部を訪問。応対した大橋俊一秘書課広報官に「県警が朝・日関係改善がみられるこの時期にスパイ事件をでっちあげたことに対し、はげしい民族的憤りをもつ」とした同総連県本部のチョーピルギュ副委員長の談話を発表。捜査内容が事実かどうかなどについてただしたが、県警側は「証拠もあり事実である」と述べた。《福井新聞》

【金丸信元副総理】自衛隊の海外派遣見送りを

自民党竹下派会長の金丸元副総理は30日、都内のレストランでの自民党安倍派との会合や福島市での講演会で、国連平和協力法案について①現在の法案のような形の自衛隊海外派遣の見送り②時限立法化—などの大幅な法案修正、妥協の必要性を明らかにした。

金丸氏は臨時国会の会期内の法案成立が「厳しい現実は分かる」との見通しを示し「国民が納得いくまで審議すべきだ」と会期延長も示唆しており、政府、自民党執行部に対し、会期延長をして自衛隊海外派遣にこだわらず、公明党の主張する時限立法にも応ずるなどの大幅な妥協を求めたものとみられる。

金丸氏は同日昼の安倍派との会合で「かりそめにも自衛隊の海外派遣などで近隣諸国に心配をかけるようなことがあってはならない。(現行の)法律の範囲内で、専守防衛の観点で、内閣は腹を据えてやらねばならない」と述べた。

同夜の福島市での講演では「憲法とか法律をいろいろに解釈することは許されない」と指摘し「法案の骨を抜くのか刺すのか、これから決めることだが、専守防衛は金科玉条であり、絶対に守らねばならない」と述べ、自衛隊の海外派遣を見送る考えを示した。

金丸氏は同時に「現行憲法の枠内で、航空機や船舶による輸送、通信、医者の派遣は必要であり、ただ(要員派遣に)反対というわけにはいかない」と要員派遣の必要性を重ねて明らかにした。

金丸氏は「要員」が自衛官かどうかについては明らかにしなかったが、昼の会合では「(新しい)法律がなくてもやれるものを考えるべきだ」と現行法の枠内での協力を再検討する考えを示した。

また、金丸氏は「日本の面目が立てば妥協してもいい。政治は妥協だ。時限立法でもいい」と時限立法化を受け入れる意向を表明した上で「有事の立法を一年でも二年でもかけて研究すればいい」と述べ、当面は時限立法、将来的には緊急時や有事に備える恒久的立法の二段階で法整備するとの見解を明らかにした。

このほか金丸氏は政府側の国会答弁の混乱について「いまあれこれ批判する段階ではない」と海部首相を支える姿勢を示した。また、竹下派の渡部事務総長は安倍派との会合で「この問題を政局の争いに巻き込んではならない」と述べ、政局絡みの動きをけん制した。《共同通信》

【政界メモ】弟の質問に兄が答弁

30日の衆院国連平和協力特別委員会で、中山太郎外相の弟で元郵政相の正暉氏が質問に立ち、珍しい兄弟間質疑に。冒頭、正暉氏は「親せき筋が言うのも何だが、(兄は)かなりしっかりやっとるような気がする」とやったので、委員会は爆笑。さに「今度はおやじの十三回忌で(兄弟が)会うことになっている」「おやじは(選挙用に)兄貴に太郎という簡単な名前を付けた」などと兄弟の秘話を披露。

正暉氏は国連憲章の旧敵国条項の削除問題などを取り上げたが、外相は「わが国としても改正するよう申し入れしている」など、通り一遍の答弁。肝心の質疑内容はともかく、独自の憲法見直し論を開陳した正暉氏の方はさも満足そう。

◯…社会党の大出国対委員長はこの日、記者会見に現れるなり国連平和協力法案の扱いについて「問題は参院愛知補選をクリアした後の(来月)5日から。選挙結果を踏まえてどうなるかだ」と腕を組んだ。そして「11月18日には沖縄県知事選。沖縄は何とか勝てると思うが…。新潟(長谷川信・前法相死去に伴う参院補選)もあるな」とぶつぶつ。

対応は愛知補選の結果をみてから―とする自民党の出方が読み切れないようで、「どういう決着になるのか。衆院での廃案、継続審議、会期延長、棚上げ再提出などいろいろ考えられる」と終始首をひねりっ放し。《共同通信》

【正力松太郎賞】西武・森祇晶監督

プロ野球の発展に寄与した監督、選手らに贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が30日東京都内のホテルで開かれ、1990年受賞者に、西武を二年ぶりの日本一に導いた森祇晶監督(53)を満場一致で選出した。

森監督は86年に次いで二度目の受賞で、二度選出されたのは広岡達朗、藤田元司両氏に続いて3人目。表彰式は31日行われ、金メダルと副賞500万円が贈られる。

西武を率いた森監督は今季パ・リーグを独走で優勝し、日本シリーズも第1戦からの4連勝で巨人を倒した。正力賞の選考委員は池田恒雄(座長、出版社社長)川上哲治、鶴岡一人、西本幸雄(以上野球評論家)田口雅雄(日刊スポーツ新聞社編集委員)の五氏で、川上氏が欠席、委任状を提出した。

池田座長は「森監督は球際に強いチームをつくり、これからの野球のエポックとなった。新人の野茂君も素晴らしい成績だったが、一年だけでは正力賞は無理との判断に落ち着いた」と選考経過を説明した。《共同通信》




10月30日のできごと