平成483日目

1990/05/05

この日のできごと(何の日)

【海部俊樹首相】インドネシア・スハルト大統領と会談

海部首相は5日午前10時(日本間同日正午)すぎから約2時間半にわたりムルデカ官殿でスハルト・インドネシア大統領と首脳会談を行った。両首脳は、カンボジア問題の平和解決を目指しカンボジア紛争当事者が対話を進めるため協力を深めることで合意した。また二国間問題では大統領が「インドネシア経済のテークオフ(離陸)のため日本の援助を引き続き期待する」と表明したのに対し、海部首相は円借款12億ドル、輸銀融資5億ドルの資金供与を約束「無償援助、技術協力は具体的要請を踏まえて検討する」と述べ、全体で例年並みの規模で協力することを明らかにした。

会談で大統領は、インドネシアがカンボジア問題解決のために過去3回にわたり非公式協議を開催した経過を紹介、「平和的解決には当事者各派が話し合いによって解決するという意思を固めることが先決で、そういう機運づくりの場を提供したい」と語った。これに対し、6月に東京でカンボジア国民政府(旧三派連合政府)のシアヌーク殿下とヘン・サムリン政権のフン・セン首相による会談実現に努力している首相は「東京会談が実現し関係者の努力が実ってほしい」と述べた。

首相はさらに「欧米の目が東欧に向いているが、日本は今後も東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係を重視する姿勢に変わりはない」と日本のASEAN直視姿勢を強調した。

首相は経済協力問題で「対インドネシア援助国会議(IGGI)の場で決定するが、せっかくの機会なので」と前置きして総額17億ドルの具体的数字を挙げて確約した。これに対し大統領は「経済離陸を目指すわが国にとって非常にありがたい。特別援助もお願いしたい」と表明した。

首相はまた①インドネシアの熱帯林保護など環境保全に日本が協力する②ジャカルタに初の海外日本語センターを開設する③ジャカルタ大学、大学院の日本研究への助成を活発化するーことを表明した。

首相は1991年に日本が国連安保理非常任理事国に立候補することを説明し、インドネシアの支持を要請したが、大統領はこれには答えなかった。首相はスハルト大統領に対し、国賓としての訪日を招請、大統領も天皇陛下のインドネシア訪問を要請した。《共同通信》

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【シンクロナイズドスイミング】

シンクロナイズドスイミングの日本選手権最終日は5日、福岡県立総合プールで各種目の決勝ルーチン(自由)が行われ、ソロはソウル五輪銅メダルの小谷実可子(東京シンクロク)が4連覇を達成した。

小谷はフィギュア(規定)で91.483点、ルーチンでもスケールの大きい演技で96.720点といずれもトップの高得点をマーク。2位の高山亜樹(ラサSS)に4点以上の大差をつける188.203点で快勝した。《共同通信》

【海部俊樹首相】政局運営で所見

アジア歴訪中の海部首相は5日午後、ジャカルタ市内のホテルで同行記者団と懇談し、選挙制度改革への取り組みなど当面の政局運営について所見を明らかにした。

首相は政権最大の課題となっている選挙制度改革について「不退転の決意」で取り組むことを重ねて表明し、国会開設百年の今秋までに政党法制定、参院改革、小選挙区の区割りを含め、関保法案の取りまとめを目指す考えを明らかにした。

消費税の見直し問題については「誠意をもって(政府の)見直し案を説明し、理解を求める。妥協を求める努力をしたい」と述べ、野党側との妥協点を探る考えを示した。内閣改造問題については「まだ何も考えていない」と述べ、早期改造は否定した。

首相は選挙制度審議会答申を受けた成案取りまとめへの段取りについて、帰国後、直ちに自民党最高顧問、党内実力者、衆参両院正副議長、各野党党首と順次会談し、理解と協力を求めるとともに、国民にも直接訴える考えを表明した。

衆院選への小選挙区比例代表制度導入について、自民党内にも反対が強いことに対しては、「異論はあろうが、選員の立場に大きな影響がある問題だから、積極的に討議して協力してもらわなければならない」と述べ、活発な党内対話を通じ理解を求めていくことを強調した。

公職選挙法改正案など関連法案の取りまとめについて首相は「議会制度百年の今秋(11月)をめどに(成案を得るよう直ちに)着手する」と述べ、11月末を目標に積力的に取りまとめ作業を進める考えを示した。

消費税問題については「(政府の)見直し案を審議していただきたい。見直しを実現し、消費税の定着を図りたい」と訴え、国会審議を通じて、廃止を求めている野党側との妥協点構築を図る考えを強調した。

今後の国会運営について「一日も早く本予算が成立するよう真剣に取り組みたい」と述べるとともに、内閣改造について「予算成立のため一致協力して頑張っているし、まだ何も考えていない」と述べた。次の臨時国会開催についても「また50日近く(今国会の)会期がある。法案を通して国民からよくやっているとの評価を得るよう実績を上げたい」と具体的な言及を避けた。《共同通信》

【ソ連】統一ドイツのNATO帰属に反対

ドイツ統一の国際的側面について協議する東西ドイツと第二次大戦の戦勝四大国(米国、英国、フランス、ソ連)の6カ国外相会議の第一回会合が5日、西ドイツのボンで開かれ、統一ドイツ承認への手続きなどの議題や会議の進め方を話し合った。

しかし、最大の焦点である将来の統一ドイツの軍事的地位については、北大西洋条約機構(NATO)帰属を主張する西側に対し、ソ連は「国民感情の上からも現状のNATOのままでは受け入れ難い」との立場を改めて表明、この問題が最大の難関となることを印象付けた。次回会議はベルリン、次いでパリ、モスクワの順でほぼ毎月一回開かれる。

この会議は「ドイツ全体とベルリンに対して機利と責任有する」(1945年のドイツ降伏文書)四大国と敗戦国である東西ドイツが初めて対等の立場でドイツ問題の最終解決を目指す場となった。東欧の民主化に端を発した冷戦終結とヤルタ体制崩壊を受け、欧州の新秩序構築を模索する歴史的な第一歩となった。

ボンの西ドイツ外務省で行われた会談には、ゲンシャー西ドイツ、メッケル東ドイツ、ベーカー米国、シェワルナゼ・ソ連、ハード英国、デュマ・フランスの6外相が出席。

司会のゲンシャー外相が冒頭「統一ドイツは他のすべての国からよりよき欧州への貢献と見なされなければならない」と東西ドイツ国民の希望を明らかにし、さらに統一によって現状の国境線の変更を要求するつもりのないことを改めて強調した。続いて5カ国外相が次々に自国の主張を一展開した。

ベーカー米国務長官はこの中で①国境線の確定②欧州の政治・軍事的枠組み③ベルリンの地位の問題④戦勝国のドイツ全体に対する権利と責任に関する最終的解決―の四つが議題となるべきだとの立場を明らかにし、統一ドイツのNATO帰属問題には触れなかった。

東ドイツ国営ADN通信によると、ソ連のシェワルナゼ外相はこの日の会議で、ソ連の主張である統一ドイツの中立化案は出さなかったものの、統一ドイツのNATO帰属については「核の第一使用などの軍事ドクトリンを維持するなど西側同盟は変わっていない」として拒否の姿勢を改めて公式に打ち出した。

しかし、この発言は完全な拒否ではなく、NATOの政治同盟化など西側の新秩序形成への努力次第では統一ドイツにNATO帰属への道を認める可能性を残したとも受け取られている。

これに対し西ドイツは「統一ドイツのNATO帰属に同意を得るためのソ連に対する広範で包括的な経済協力」(西ドイツ政府筋)を提案しており、6カ国会議ではソ連をも取り込んだ欧州新秩序の構築を目指している。《共同通信》



5月5日 その日のできごと(何の日)