平成401日目
1990/02/12
この日のできごと(何の日)
【ネルソン・マンデラ氏】政府との交渉に意欲
27年半ぶりに釈放された南アフリカの黒人解放組織(ANC)の最高指導者ネルソン・マンデラ氏は12日、ケープタウンのデズモンド・ツツ大主教邸で国内外の記者団と釈放後初の会見に臨み、アパルトヘイト政策撤廃に向け、政府とANCの対話が遠くない時期に開始されるだろう、と述べ政府との交渉に積極的な姿勢を示した。
これに先立ちマンデラ氏は11日夜、ケープタウンのグラウンドパレード広場で演説し「すべての人が協調し、均等な機会を与えられる社会こそが私の理想。そのために命を惜しまない」と全民族の協調を力強く呼び掛ける反面で武装闘争継続の立場を表明した。
一方、釈放を喜ぶANC支持者らが街頭に繰り出し、各地で敵対するグループや警察と武力衝突し、12日までに約60人が死亡した。
記者会見でマンデラ氏は今後の活動方針について、できるだけ早い時期にルサカに滞在するANCの現執行部と協議すると語り、南ア政府が経済制裁の解除を強く求めていることに対し「アパルトヘイトのない社会を目指す目標から程遠いところにある現在、解除を語るのは早過ぎる」と厳しく批判した。
一方、演説でマンデラ氏は広場を埋め尽くした約5万人の群衆の前に、「1960年にANCの軍事部門をつくる必要を生んだ要因は今日でも存在している」と述べ、ANCの武装闘争路線がアパルトヘイトの暴力に対する防衛措置であると、その正当性を強調。さらに「南アの将来は自主的な選挙で選ばれた政体で決められるべきだ」とし、白人に対してANCの戦列への参加を呼び掛けた。
またマンデラ氏は釈放を決めたデクラーク大統領を「誠実な人」と評価、非常事態宣言の解除や全政治犯の釈放などANCの要求にこたえるよう強く求めた。最後に群衆に対し集会後は穏やかに解散し、ANCが非難されるような行動は慎んでほしいと述べた。
南ア各地の抗争・衝突事件はマンデラ氏が釈放された11日以降に発生。警察当局よると東部ナタール州は各地の黒人居住区でANC支持の超健派、急進派同士の衝突で50人以上が死亡し、数百人が負傷、民家数百戸が焼かれた。また、ケープタウンでは警官隊が群衆に発砲、5人が死亡したと伝えられており、全土での死者は60人に上るとみられている。《共同通信》
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【ソ連最高会議幹部会】大統領制導入を承認
ソ連国営タス通信は12日夜(日本時間13日未明)、先のソ連共産党拡大中央委員会総会で採択された党改革の基本方針(プラットフォルマ)案の全文を公表した。同案は憲法上の党の指導性放棄と複数政党制容認などソ連型社会主義から「人道的、民主的な社会主義」への移行を明記する歴史的文書。しかし、一部に保守派に対する妥協の跡もみられた。
一方、ソ連最高会議幹部会は12日、同総会でゴルバチョフ最高会議議長兼共産党書記長が提唱した大統領制導入を全会一致で承認、14日に開かれるソ連最高会議へ提案すると同時に最高議決機関である人民代議員大会を早急に招集することを決定した。
これにより、国家元首としての権限を大幅に強化することを目的としたソ連初の大統領制は、早ければことし前半にも正式に決定され、ゴルバチョフ議長が就任する可能性が出てきた。
ソ連では、人民代議員大会に大統領制導入など憲法修正の最終的権限がある。
ゴルバチョフ議長は、ペレストロイカ(改革)断行のために大統領制の導入が必要と中央委総会で強調したが、大統領制については国民からも期待が寄せられている。人民代議員大会では、議長への権力集中を懸念する意見が出ると予想されるものの、承認されるとみられる。
一方、40ページに及ぶ基本方針案全文は総会で設置された特別委員会が最終的に起草したもので、大枠はゴルバチョフ議長の総会初日の提案報告演説と変わっていないが、保守派の反対が強い所有制に関して「私的所有」の表現がないなど保守派との妥協があったことがうかがえる。《共同通信》
【東京国際マラソン】
東京国際マラソンは12日、外国招待11人を含む114選手が参加して東京・国立競技場ー平和島口折り返しの42.195キロのコースで行われ、中山竹通(ダイエー)が2時間10分57秒で初優勝した。中山は通算12度目のマラソンで5度目の優勝。
スタート時16度とやや高めの気温の中、約10ヵ月ぶりのマラソン出場となった日本の第一人者中山は、6キロ過ぎで先頭に立ち独走した。20キロ地点までの5キロごとのラップはすべて14分台。中間点も1時間2分36秒のハイペースで通過したが、終盤に大きくペースが落ち平凡なタイムにとどまった。《共同通信》
【海部俊樹首相】制裁前提の交渉に応じぬ
海部首相は12日、遊説先の岐阜市内で記者会見し、米議会が新貿易法スーパー301条を、日本に適用する可能性を指摘していることについて「一方的な制裁措置を振りかざしての交渉に応じるわけにはいかない」と米国側の対応に反発を示しながらも「指摘された通信衛星、スーパーコンピューター、木材の三つの分野については、それぞれ対応策を具体的に進めており、よく説明して米国側の理解を求めたい」と、日本側としても解決に努力する姿勢を強調した。
その上で海部首相は「日米の信頼関係に基づいて、静かな話し合いでお互いに問題を解決する努力を続けたい」と述べ、双方の努力で解決を図る考えを重ねて表明した。
首相は政策課題に掲げている物価対策について「国民生活を安定向上させるには、物価の安定が何より大切だ」とした上で、食料品などで内外価格差があることを挙げ「流通、(政府の)規制、独占禁止政策など項目を分け、それぞれ対策を立て一つでも二つでも内外価格差を是正していくように努力する」と述べ、内外価格差の是正に取り組む姿勢を強調した。《共同通信》