平成362日目

1990/01/04

この日のできごと(何の日)

【海部俊樹首相】伊勢神宮で会見

海部首相は4日、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝した後、神宮司庁内で記者会見した。この中で首相は、今月末から2月にかけての日程が固まっている衆院解散・総選挙の勝敗ラインについて「過半数を持って国会に臨むことが大事ではないか」と述べ、当面保守系無所属当選の追加公認も含めた過半数獲得を目安にしているとの考えを初めて明らかにした。

首相が、総選挙での獲得議席の目標を低めに設定したことは、自民党にとって厳しい選挙情勢の見通しを踏まえて、政権続投に強い意欲をにじませたものと言える。

さらに首相は、8日からの訪欧の中で表明する東欧支援に関して「人物交流の上に教育、文化の交流など幅広い交流をしたい」として経済援助だけにとどまらない幅広い交流を行う意向を示した。

会見の中で首相は、総選挙での獲得目標議席数について「過半数を持って国会に臨むことが大事」との考えを示し、さらに会見後、「(首相の発言は)追加公認を含めて過半数という意味か」との質問に対し「国会に臨む時に過半数が必要ということだ」と述べ、首相として無所属の追加公認を含めた過半数維持を念頭に置いていることを強調した。

首相は総選挙の争点についても触れ、昨年末の来年度予算編成で赤字国債の発行から脱却したことを指摘した上で、「長寿社会への政策が用意された。生涯幸せ、生涯健康という目標を掲げている」と福祉対策の充実を訴えていく考えを示した。

また首相の公約である“公正な社会づくり”も争点となることを指摘し「土地基本法に従って具体的な政策も揚げなくてはならない」と述べ、今後、政府、自民党として地価高騰が著しい大都市の有権者に配慮した政策を打ち出す方針を明らかにした。

さらに首相は、今後の政治日程について「外遊から帰ってから国会で外交上の体験や考え方を示して与野党の意見を承りたい」と述べ、解散時期を通常国会再開後の施政方針演説、代表質問の後に考えていることを改めて示した。《共同通信》

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【礼宮文仁親王殿下】英国から一時帰国

英国留学中の礼宮さまは昭和天皇の一周年祭諸儀式参列などのため4日午後4時すぎ、成田着の日航機で帰国された。

礼宮さまは一周年祭後の今月中旬、6月末にご結婚が決まっている学習院大大学院生、川嶋紀子さん(23)との結納に当たる「納采の儀」を済ませ、再び渡英される予定。

礼宮さまは午後5時40分ごろ、東京・元赤坂の赤坂御所に到着、天皇、皇后両陛下、皇太子、紀宮さまのお出迎えを受けられてニッコリ。御所内で藤森宮内庁長官らに帰国のあいさつをした後、奥の部屋で待ち受けたフィアンセの紀子さんと約3カ月ぶりに再された。この後、紀子さんを交え、天皇ご一家は久しぶりにそろって夕食をともにされた。《共同通信》

【政府】韓国への円借款打ち切りへ

「韓国は先進国の仲間入り直前で、どの経済指標を見ても円借款の対象ではない」―最近の韓国経済の大幅な躍進を背景として、政府は4日、本年度限りで韓国への円借款を打ち切る方針を決めた。

近く同国に対する最後の円借款調査団が派遣される予定。当面は技術協力などは続けるものの、1990年代前半には完全に途上国を卒業、被援助国から援助する立場になることは確実だ。

韓国への円借款は、82年に7年間で18億5000万ドルを供与することを決定、87年度までにその63%を実施した。しかし、韓国は国内景気の拡大や国際収支の好転などから最終年度の88年度は円借款を申請しなかった。

ところが、昨年になってソウルの地下鉄延長計画などに対する協力を求めてきた。日本としては7年間の実施期間は過ぎているが、約束した18億5000万ドルの残り分6億9000万ドルを最後の円借款として供与する方針だ。外務省としては「援助案件を詰めて供与額に達しなくても、今回の調査が最後になる」としており、この点については韓国側も了承しているという。《共同通信》

【自民党・金丸信元副総理】政局安定へ野党も対応を

自民党竹下派会長の金丸元副総理は4日午前、遊説先の宮城県石巻市のホテルで講演し、2月にも予想される次期衆院選挙後の政局に触れ「自民党が選挙に勝っても衆参両院の綱引きとなって政治は不安定だ。(選挙後に)どのような考えに持っていくのか、自民党はかりでなく野党も国民の政党である以上、当然考えなくてはいけない」と述べた。

これは自社大連合を軸とした政界再編成構想を打ち上げた金丸氏に対し、社会党など野党が反発したのを受け、政局安定に向け改めて野党側の対応を一迫ったものだ。

また「次の選挙では自民党に勝たしてくれて、ちょうどいい」とし、与野党逆転下の参院とのバランスを考慮すれば、衆院では自民党が過半数を確保できるよう国民の支持を呼び掛けた。

さらに金丸氏は、米ソ首脳によるマルタ会談で両国が急接近し、日本が世界の潮流から取り残される懸念を指摘し「これまで日本は、米国にとって極めて重要な地位を占めていた。米国があって日本がある」と強調。次期総選挙の結果、野党が政権に就いた場合には日米関係に重大な支障が出るとの認識を表明した。《共同通信》

【5カ国農相会議】日本の食料安保論は孤立主義的

日本、米国など主要国・地域の農相による5カ国農相会議は4日、食糧安全保障問題についての本格討議が始まり、コメの完全自給を訴えた鹿野農相の発言にヤイター米農務長官が激しく反発。コメという特定目を名指しで日本の食極安保論に全面的な批判を浴びせるなど日米の意見が正面からぶつかり合った。

ヤイター長官は「日本がコメの自給を主張するなら米国も自動車やテレビの自給が欠かせない」と、日本の対米自主規制の扱いが大詰めを迎えている自動車問題を引き合いに出した上で「日本の食糧安保論は戦争を前提とするなど仮説に基づく議論であり、孤立主義的」と批判した。

日米の農相が食糧安保の観点からコメを具体的に取り上げて議論を交わすのは今回が初めてで、ことし本格化する一関税資易一般協定(ガット)の新多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)農業交渉でも食糧安保やコメの問題をめぐる日米の対立が一段と鮮明一になりそうだ。《共同通信》

【パナマ・ノリエガ将軍】裁判始まる

米国に移送されたパナマのノリエガ将軍(51)に対する麻薬取引容疑の初公判が4日午後4時15分(日本時間5日午前6時15分)から、米フロリダ州マイアミの連邦地裁で始まった。将軍への人定質問の後、弁護側は当裁判所には裁判権がないと主張し、全面的に争う姿勢を示した。

裁判権がない理由として、弁護団は(1)将軍は不法に身柄を拘束された(2)拘束は国際法に違反している(3)起訴は政治的理由によるものである―など6点を挙げた。このため本人の罪状認否には至らず、20分で閉廷した。次回日程は設定されておらず、今後の裁判は難航が予想される。

マイアミ連邦地裁に1988年2月に提出された起訴状によると、将軍の容疑事実はコロンビアの麻薬密売組織に便宜を図り、米国に麻薬を持ち込ませたことなど12件に上り、すべて有罪となると最高禁固145年、罰金110万ドル(約1億5950万円)が科される。法廷で将軍はスペイン語と英語の同時通訳を介して判事の質問に答え、起訴状を読んだことや容疑内容を弁護士と協議したことを認めた。また健康状態は良好で、容疑内容を理解したことも伝えたが、罪状認否には応じなかった。《共同通信》



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