1985 昭和60年6月18日(火) 豊田商事会長刺殺事件

1985/06/18

この日のできごと(何の日)

【豊田商事会長刺殺事件】

台湾現地法人への多額不正送金事件で兵庫県警捜査本部の事情聴取を受けた後、自宅に“ろう城”していた豊田商事(本社・大阪市北区)の永野一男会長(32)=同市北区=の自宅に18日午後、約40人の報道陣の目前で、2人組の男が窓ガラスとアルミの格子を破って乱入、刃渡り40センチの銃剣で寝室にいた永野会長の胸や腹などに切りつけた。永野会長は救急車で病院に運ばれたが、出血多量でまもなく死亡した。犯人の2人は現場近くで大阪府警天満署員に殺人の現行犯で逮捕された。大阪府警は天満署に捜査本部を設置、背後関係や動機など本格的捜査を始めた。

逮捕されたのは、大阪市東住吉区、鉄工所経営、A(56)と同市淀川区、建設作業員B(30)の2人。

調べによると、2人は同日午後4時25分ごろ、永野会長宅付近に現れた。ガードマンが永野会長に救急箱とドリンク剤を差し入れようとしたところAは「こんなやつをガードするのか。給料はいくらだ。永野は87歳の老人から850万円をだまし取った。6人から“ぶっ殺してくれ”と頼まれている。わき差しを持ってきた」などとまくしたて、ガードマンの持っていた救急箱をひったくり、床にたたきつけた。

2人は通路にいたカメラマンや記者ら約40人を押しのけるようにして永野会長宅のドアに近づいた。

Bが会長宅のドアをけり始めると、Aが「捕まるのはオレ1人でいい。バールを出せ」と叫び、近くにあったカメラマン用の金属製折りたたみいすでドアを叩いた後、ドア左側の窓ガラスをけ破り、アルミ製のさんを引き抜いて2人は室内に乱入、隠し持っていた銃剣でベッドに横になっていた永野会長に切りつけた。

Aは数分後、全身に返り血を浴び、窓から身を乗り出し「やった」と叫び声を上げた。

同5時すぎ、永野会長は応急手当ての後、救急車で大阪市北区の行岡病院に運ばれたが、頭や腹など8ヶ所を刺されており、同5時15分、出血多量で死亡した。

捜査本部の調べに対し、Aは「法律が手ぬるい。会長のやり方が気にくわない。他にやる者がいないので自分がやった」と犯行の動機を自供している。《共同通信》

\ 最新情報をチェック /