平成5990日目

2005/06/02

【この日の小泉総理】

日本・インドネシア首脳会談

平成17年6月2日、小泉総理は今年4月に完成した新公邸でインドネシア共和国のスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と首脳会談と夕食会を行いました。

小泉総理が外国の賓客を新公邸でもてなすのは今回が初めてで、国内外の要人をもてなすために設けられた会談会場の茶室に案内しました。床の間や茶釜が配置された室内やとなりの広間を興味深そうに眺めるユドヨノ大統領に、小泉総理が「ジャパンスタイル」と笑顔で説明しました。

会談後、両首脳はラウンジに移り共同文書に署名。署名後小泉総理は「今日はユドヨノ大統領閣下をお迎えして新しい公邸で初めて外国の首脳をお迎えして会談することができました。これからのインドネシアとの新しいパートナーシップを強化していくために、大統領の訪問を心から歓迎しております。共同文書も発出し、経済連携協定の交渉開始、海賊対策など様々な分野においてどういう協力が相応しいかという(ことを検討する)賢人会議を設立することを決めました。」と述べました。

これに対してユドヨノ大統領は「このような話し合いができることは、両国の協力につながることになるので、今日署名をすることができてうれしく思います。また、津波、地震に対して日本の支援に対して大変感謝しております。」と述べました。《首相官邸》

日本・ニュージーランド首脳会談

平成17年6月2日、小泉総理は総理大臣官邸で、ニュージーランドのヘレン・クラーク首相と首脳会談を行いました。

会談では、経済関係を始めとした二国間関係の緊密化、東アジアの地域協力、国連安保理改革、アジア情勢など様々な分野について話し合いました。

小泉総理は、ニュージーランドが愛知万博に参加したことについて謝意を述べました。それに対してクラーク首相は、「反対意見もありましたが、自分の意思で参加を決めました。特に日本との関係の重要性を鑑みて決断しました。」と述べました。 小泉総理も、「万博を機に日本・ニュージーランドの人的交流が促進されることを期待しています。」と述べ、二国間関係の重要性を再確認しました。

両首脳は日本学術振興会とニュージーランド研究科学技術省間での研究開発協力を促進するための覚書締結を歓迎し、今後も情報通信などの幅広い科学技術を発展させていきたい、と述べました。

国連改革に関して小泉総理は、ニュージーランドが日本の安保理常任理事国入りの支持していることに謝意を述べました。

日本・ルーマニア首脳会談

平成17年6月2日、小泉総理は総理大臣官邸で、ルーマニアのトライアン・バセスク大統領と首脳会談を行いました。

会談では、国連安保理改革、ルーマニアのEU加盟、環境分野における両国間の協力などについて話し合いが行われました。

会談の冒頭、バセスク大統領から、89年のルーマニアの民主革命以降、日本政府の経済協力のおかげでルーマニアの体制移行が容易になった、との謝意表明がありました。また、安保理改革について同大統領から、ルーマニアはG4の立場を支持している旨発言があり、これに対して小泉総理は、謝意を表明するとともに、ルーマニアが安保理改革に関する枠組み決議案の共同提案国になることを求めたのに対し、大統領より日本の立場を支持する旨述べました。

また、ルーマニアのEU加盟について小泉総理から、「EU加盟条約の署名をお祝いしたい。日本としてルーマニアのEU加盟に向けた改革を支援していきたい。」と述べました。

環境問題について小泉総理は、「今般、京都メカニズムを通じた協力に関する文書を発表できて喜んでいる。環境分野でも両国が協力できることがたくさんある。」と述べました。これに対して大統領は、「ルーマニアは2001年に京都議定書を批准した。」と述べ、日本の協力に謝意を表明しました。《首相官邸》

中国に不快感

小泉純一郎首相は2日午後、衆院予算委員会の集中審議で靖国神社参拝について「首相としての職務としてではなく、わたしの信条から発している参拝に他の国が干渉すべきではないと思っている。心の問題だ」と述べ、首相の参拝中止を求める中国などに不快感を示した。同時に「いつ行くかは適切に判断する」と述べ、靖国参拝を継続する意向を重ねて示唆した。《共同通信》




昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

情報量が少ない日は随時加筆中です。

引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。

外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)

古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。

このサイトについて

【若貴兄弟】「不仲」認める

大相撲の二子山親方(元大関貴ノ花)の告別式と初七日を終えた2日、息子の「若貴兄弟」がともに不仲を認めた。兄の花田勝氏(34)=元横綱三代目若乃花=が「もめたくないが、こういうことが伝わることが恥ずかしい」と述べたのに対し、弟の貴乃花親方(32)=元横綱貴乃花=は「もう仲のいい兄弟に戻れと言われても無理です」。

史上初の兄弟横綱として相撲人気を背負った2人は、師匠でもあった父親を送り出した後、溝の深さを示した。《共同通信》

【ソフトバンク・城島健司捕手】通算200本塁打

ソフトバンク9−7阪神◇2日◇甲子園

ソフトバンクの攻撃はパワーに満ちあふれる。2回に8番の宮地が3点本塁打。3回は松中の2ラン。2点差に追い上げられた8回には城島の通算200号で引き離した。福原が7失点降板の阪神は3連敗。《共同通信》

【東京高裁】「スーパーフリー事件」主犯の控訴を棄却

イベント企画サークル「スーパーフリー」のメンバーによる集団暴行事件で3件の準強姦罪に問われた元代表で早稲田大生だったW被告(30)の控訴審判決公判で、東京高裁は2日、懲役14年の一審東京地裁判決を支持、W被告の控訴を棄却した。

判決理由で仙波厚裁判長は「各犯行はいずれも冷酷非道、悪質極まりないもので、被害者に与えた損害、影響は計り知れない。刑事責任は極めて重大」と述べた。《共同通信》

【この日の民主党】

郵政民営化法案廃案と小泉首相退陣をめざし、国民集会を開催

民主党は2日午前、都内で「民営化より正常化!!本物の改革をめざします」とする「小泉政権の『郵政民営化』に反対する国民集会」を開催。多くの国会議員や国民が参加する中、岡田代表らが挨拶し、郵政民営化法案を廃案に追い込み、小泉首相の退陣を求めて力強く呼びかけた。集会には約400人が参加した。

集会は中山義活国民運動委員長の「なんといっても気合いだ!」との力強い挨拶で始まり、まず仙谷由人政策調査会長が、なぜ小泉内閣の郵政民営化法案を廃案にしなければならないかを基調報告した。仙谷政調会長はこの中で、「ネットワーク会社は何でもできる。その時、何が起きるか。地方経済の中心であった中小企業は消し飛ぶ。地方銀行、信用金庫はなくなる」とし、また、民営化がうまくいかなった場合は、「郵貯、簡保のお金は露と消える。ドイツでは民営化はうまくいっていると言われているが、わずか7兆円の規模だ。日本は350兆円。この金額をコントロールなしに市場に送ることができると、考えることがおかしい。廃案にしなければならない」と訴えた。また、分かりやすいパンフレットをつくり、国民に語りかけていくことも明らかにした。

続いて岡田克也代表が、「郵政公社のままで、とことん改革する。国民のための改革を私たちは主張している。中井郵政特別委員会筆頭理事を先頭に、廃案に向けてがんばっていく。郵政民営化がいかにインチキであり、国民生活に弊害をもたらすかを国民に語り、法案の廃案、小泉首相退陣に向けてがんばろう」と力強く決意を表明した。

来賓として、福島瑞穂社会民主党党首、山養世シンクタンク山養世事務所代表、高橋均連合副事務局長が、それぞれ法案の問題点を指摘し、廃案に向けての決意を述べた。福島党首は、「小泉さんのわがままに付き合って国会の会期を延長させる必要はない。必ず失敗と言われるだろう」とし、山代表は、「100年の計を誤る法案を廃案にして欲しい。法案は国土の均衡ある発展を、ついに自民党が放棄したものだ」とし、東京だけが生き残ればいいとする民営化の本質を指摘。高橋副事務局長は、中央省庁等改革基本法違反、法律順守を定めた憲法73条違反で、4人が提訴していることを明らかにし、「連合としてこの訴訟を全面的支援していく」とし、「小泉・竹中路線を打破しよう」と訴えた。

次に特別委員会の委員を代表して伊藤忠治衆議院議員が、「小泉さんはいよいよ狂人になったか」と前置きし、「公社化し、2年続きで黒字を出している。これをなぜバラバラにするのか。アメリカの意思で民営化をしている」と小泉・竹中路線を批判した。また、五十嵐文彦『次の内閣』ネクスト総務大臣は、法案を「支離滅裂、本末転倒、荒唐無稽」だとし、「ビジネス・モデルがない。資本金もはっきりしない。ビジネス・モデルを考え、そこから経営形態を考えるべきだ。デタラメをすれば国が潰れる。絶対に廃案をめざす」と決意を表明した。

最後に、海江田万里常任幹事(東京ブロック担当)が、コンバット・ジャケットに身を包み、「廃案、小泉退陣へ、団結がんばろう」と音頭をとって集会を締めくくった。

岡田代表、ヘレン・クラーク ニュージーランド首相と意見交換

岡田克也代表は2日朝、都内で、訪日中のニュージーランドのヘレン・クラーク首相と会談。アジア・大洋州の外交問題を中心として意見交換を行った。

会談の冒頭、岡田代表は、6年間の野党の党首を経た後、現在内閣を率いるクラーク首相に対して、政権獲得の秘訣を質問した。クラーク首相は、今の政府が信頼に足らないと証明する一方、建設的な提言をすることが野党の党首の役割であると述べ、両立が難しかったと振り返った。その上で、「次の世代の首相である」と前向きに継続して発信するよう、岡田代表に対して助言した。

会談では、小泉政権の最近の動向について意見交換がなされた。岡田代表は、自民党内にある反対勢力をクローズアップすることにより支持率を上げてきたと首相の政治手法を分析。ある意味では国民のナショナリズムをあおるような言動も、最近では見られると語った。これに対してクラーク首相は、例えば靖国参拝について、ある意味では対中関係を犠牲にしてまでも、何を国民にアピールしようとしているのかと、疑問を有することをうかがわせた。

クラーク首相はまた、自衛隊のイラク派遣について、法的根拠を質問。岡田代表は、戦闘中の国に自衛隊を派遣するのは禁止されているため、民主党としては派遣に反対したと述べるとともに、解釈の変更によって派遣が可能となった流れなどを説明した。

岡田代表は、具体的な成果を得られず閉幕した5月末の核拡散防止条約(NPT)再検討会議について、クラーク首相に感想を尋ねた。クラーク首相は、大変残念であると答え、終局的な軍縮よりも、拡散抑制に関心が行き過ぎている米国の最近の傾向に懸念を示した。岡田代表は、イランの核開発について、確たる証拠のないまま強い対応をすれば、国連が信頼を失うことにつながると述べ、クラーク首相も、外交的努力による解決を進めることが重要との認識を示した。

岡田代表は、北朝鮮のNPT問題にも同じ問題が存在すると指摘。クラーク首相は、中国による圧力が唯一の解決策であるが、日中関係の緊張状態は、核問題や日本の常任理事国入りを含めた国連改革にも、芳しくない影響を与えるとの見解を示した。岡田代表は、首相の靖国参拝の問題は、韓国にも影響を与えており、小泉首相の政策が日本の国益を侵していると、多くの人が懸念を持っていると応じた。

クラーク首相は、外国から言われて何かを決めるのではないという態度を国民にアピールする政府に対して、野党が長期的国益を目指す存在感を見せることはなかなか難しいだろうと、共感の意を表した。岡田代表は、靖国問題について、日本の国益をふまえての決断を首相に求めている民主党の立場を改めて説明した。

クラーク首相は、この夏にかけて、戦後60年を迎える日本の動向には、アジア・大洋州も注視していると表明。日本政府が、どういったトーンやムードでここ数ヶ月を対応するかに、大変関心があると語った。新しい21世紀の平和なアジア・大洋州をつくりたいというクラーク首相に対して、岡田代表は、自らの外交安全保障ビジョン「『開かれた国益』をめざして」を紹介し、アジア重視の外交観を説明した。

なお、今回の会談に、民主党からは、鳩山由紀夫『次の内閣』ネクスト外務大臣、北橋健治役員室長、藤田幸久国際局長も同席した。

予算委員会は最強のバッターを立て首相を追及する 鉢呂国対委員長

鉢呂吉雄国会対策委員長は2日午前、国会内で記者会見を開き、本日2日午後に行われる衆議院予算委員会の集中質疑に臨むにあたっての決意を述べたほか、森岡厚労政務官の辞職についても改めて強く求めていく意向を明らかにした。

まず鉢呂国対委員長は、本日午後に行われる、経済・外交・郵政問題などに関する予算委員会集中審議について、「岡田代表をはじめ4人の最強のバッター」を立てて、小泉首相らを追及していくとし、郵政民営化関連法案の瑕疵についてや、郵政問題に特化をした政権運営を行っていることの問題点、対中・対韓関係をはじめとして、行き詰まりを見せている外交問題などについて、「徹頭徹尾」追及を行っていく決意を述べた。

また郵政民営化特別委員会での審議に関しても、「中井筆頭理事を中心に最善最強の議員」をそろえたとし、明日からの総括質疑でも、「きちんと論点を明確にして(質疑を)行っていきたい」と述べた。

郵政民営化関連法案の瑕疵をめぐっての与野党国対委員長間の合意についても、「政省令の内容について、その概要を明らかにすると与党側から話があった」にもかかわらず、「昨日の段階でそのうちの一つしか明らかにされない」ことを、鉢呂国対委員長は厳しく指摘。「ある意味では審議の前提条件であったと思っている」として、「会談での協議と違う形である」ことを批判し、「厳しい構えで臨む」とした。

また鉢呂国対委員長は、A級戦犯問題をめぐる森岡厚労政務官の発言についても改めて触れ、「一代議士として発言をしたとして、不問に付す形になっているが、とんでもない話だ」とし、「見過ごすわけにはいかない」と厳しく追及を続ける意向を示した上で、「政務官を辞職すべきである」との考えも改めて強調し、厳しい対応を行っていくことを明らかにした。

説得の努力しないなら辞任を 岡田代表が首相に迫る

衆議院予算委員会の集中審議が2日午後開かれ、民主党・無所属クラブから岡田克也代表がトップバッターとして質問に立った。岡田代表は、小泉首相の靖国神社参拝問題とアジア各国との関係悪化の問題や郵政改革問題について鋭く総理に迫った。

岡田代表はまず、東京裁判やA級戦犯についての小泉首相の認識を質し、首相は、「日本として受諾している」などと答弁。岡田代表は、A級戦犯の問題について、色々な議論はあるが、「わが国として受諾をしている、これが議論のスタート」だと確認した上で、首相の、「どのような追悼の仕方がいいということは他の国が干渉すべきでない」との発言の真意を質した。首相は、発言が「おかしいとは思っていない」とし、「内政干渉という言葉の定義はない」「内政という定義はない」などと支離滅裂な発言。岡田代表は冷静に、国際法上の内政干渉の定義を紹介し、これを踏まえない首相の発言を、「軽率だ」とたしなめた。

岡田代表は続いて、小泉首相の靖国神社参拝に関する「いつ行くか、適切に判断する」との発言を取り上げ、「いつ行くか」が付いたことで、「一歩踏み込んでいる」とし、靖国神社に「行くことが前提で述べているのか」を質した。首相は、「いつ行くか、適切に判断する」との答弁を延々と繰り返し、ついには「これが、いい答弁だ」と完全な開き直り。日中関係の現状認識についても首相は、「今までにない日中経済交流が深まっている」などと他人事のような答弁に終始。岡田代表は、「そこまで言うなら、独りよがりどころか、完全な開き直りだ」と厳しく批判した。

岡田代表は、日本の国連安保理常任理事国入りについて、野党の立場からもサポートする意向を示しつつ、首相の靖国参拝問題が、常任理事国入りや六カ国協議にも影響を与えている厳しい現状を指摘し、首相の考えを改めて質した。しかし首相は、「参拝がいけないというのか。中国が言うからいけないのか」とまたも完全に開き直り。これに対し岡田代表は、「選択肢は三つしかない」として、「自らの判断で行かないと決めること」、「相手を説得し、その考えを貫くこと」をまず挙げ、いずれもやらないのであれば、「小泉総理が日本国総理大臣を辞めることしかない」と厳しく断じた。首相は、「信条の自由がある。心の問題だ」と全く問題の本質を理解していないことを露呈する答弁。岡田代表は、その荒過ぎる答弁をたしなめ、「日本の国の利益がかかっている」として、首相が「きちんと解決する責任がある。その自覚がないなら辞めるべきだ」と再度迫った。首相は、「神道を奨励するために靖国神社に行っているのではない」などと質問と無関係な答弁で逃げた。

続いて岡田代表は、郵政民営化問題について「何のために民営化するのか、国民の多くがそのことが分からないと言っている」と小泉首相を質した。首相は、「広い分野にこの郵政改革は資する」としたが、具体的には答えずじまい。「公務員でなくするために民営化するというのは、本末転倒の議論だ」と釘を刺した岡田代表は、「郵政公社を民間に持っていって、本当にビジネスモデルとして成り立つのか」に疑問を呈し、「官の肥大化という結果に必ずなる」として、「公社のまま改革を進めることに重点を置くべきだ」との民主党の考えを明快に説明した。

そして岡田代表は、「民営化」された日本郵政株式会社が、「国の出資が3分の1以上入る特殊会社」であるとして、これは民営化ではないと指摘。どんどん事業を拡張する特殊会社をもって、「これが官の肥大化でなくて何なのか」と質した。首相は、「NTTも政府が株を所有している」などと答弁。岡田代表は更に、民営化後の会社が、「ゼロからスタートして、取引先も専門家もノウハウもない」中で、およそ35兆円の運用について「どうやってどこに貸すのか」を質したが、首相は「移行期間を設けている」「できない、できるというのは、それぞれ意見がある」などの具体性のない答弁に終始した。

岡田代表は、「独りよがりにならずに、多くの人の意見に率直に耳を傾けてもらいたい」と、小泉首相の政治姿勢に改めて苦言を呈し、「民営化は認められない」とした上で、郵政民営化関連法案に自民党内で党議拘束がかかっているかを質して、質問を終えた。

筒井議員、法律違反・国会軽視の郵政法案を批判

民主党・無所属クラブの筒井信隆衆議院議員は2日の予算委員会集中審議で、岡田克也代表に続いて質問に立ち、郵政民営化法案について、中央省庁等改革基本法の33条6項(前各号に掲げる措置により民営化等の見直しは行わないものとすること)違反であり、提出行為自身が違法であるとし、また、修正前提での国会提出は国会軽視、侮辱であると厳しく批判した。

筒井議員はまず、「法律を無視する、議会を軽視するのが独裁者の条件」と小泉首相の政治姿勢を批判。また、政省令に委ねる部分が、貯金・保険の限度額、郵便局の設置基準、いわゆる第3保険の種類など重要問題にわたっていることを明らかにした上で、「民主党の調査では234カ所。政府も151カ所認めている。これは官僚任せではないか。これでは官から官僚へ、ではないか」と民営化が看板だけであることを明白にした。

筒井議員は小泉首相に、中央省庁等改革基本法の質疑の当時、当時の郵政大臣が33条6項は「将来にわたって民営化は行わない」との規定であることを答弁していることを知っているかどうかを質問。首相は、「よく承知している」と答弁。筒井議員が、ではなぜ削除する法案を一緒に出さないのかを追及。首相は、「公社化後を規定するものではない。公社になった後はその後の政治判断」と強弁した。これに対して筒井議員は、「33条6項を廃止すればいい。削除して一緒に出せばいい。これでは法律の意味はなくなる」と首相の法令順守意識の無さを批判した。

筒井議員は修正を前提としている問題について、「自民党の総務部会において修正前提に議論を打ち切ったことを知っているか」と質問。首相は「詳細は知らない。政府としては修正を考えていない」と無責任な答弁に終始した。

岩國議員、靖国神社参拝問題などで首相を厳しく追及

2日に行われた衆議院予算委員会の集中審議で、民主党・無所属クラブの三番手として質問に立った岩國哲人衆院議員(『次の内閣』ネクスト政治改革担当大臣)は、靖国神社参拝、郵政民営化、生活保護と失業率等の問題等をめぐり、小泉首相はじめ関係大臣を質した。

岩國議員は、「小泉首相の靖国神社参拝には多くの方から心配の声が挙がっている。中国や韓国との関係を悪くしてまで、なぜ参拝しなければならないのか」と指摘した上で、小泉首相に戦後、天皇陛下が靖国神社を何回参拝したかを質した。小泉首相は、「何回参拝したかを調べる必要があるとも思わない。参拝されたことは承知しているが、何回かは承知していない」と答弁。岩國議員は、調査に基づき天皇陛下は1度も参拝したことがないことを指摘。また、1985年8月15日に靖国神社参拝を行ったにもかかわらず、その後本会議で、「戦争の指導者や政治家は国民的に批判されねばならない。戦争指導者や政治家と国の命令で戦死した将兵たちとは明らかに立場・責任が違う。近隣諸国から批判が出て、日本が孤立したら果たして英霊が喜ぶか。第一線で戦ったまじめな将兵たちは、公式参拝見送りを理解してくれると思う」と説明し、参拝を取り止めた中曽根元首相と、認識を共有するかを小泉首相に質した。これに対し首相は、「中曽根元総理ご自身の問題ですから尊重している」などと答弁するにとどまった。岩國議員は、歴代首相の中に小泉首相の靖国神社参拝を肯定する意見は見られないことを指摘し、「そうした行動で中国や韓国との関係を悪くするのは総理として問題」と批判。中国や韓国との対話重視の必要性を改めて提議した。

岩國議員は続いて郵政民営化の問題を取り上げ、米国はじめ諸外国では郵便事業は国営で行うのが妥当とする流れがあるとした上で、官営で行うべきとの考えを示した。小泉首相は「アメリカの事情と日本の事情とは違う。各国の事例を参考にしつつもより良い民営化にもっていく」と強弁した。岩國議員は「どこがアメリカと日本とは違うのか」とし、郵便事業は国営で行うべきとの考えを重ねて示した。

岩國議員はまた、郵政公社を4分社化して発足する株式会社名を「日本郵政株式会社」「郵便局株式会社」とした点について取り上げ、「官名詐称。官の名前を偽り、同業他社に対して政府のバックがあるかのごとき印象を与える」とし、民営化とは名ばかりだとして名称を与えるよう要請。公機関であるかのごとき印象を与える名称は本来、商業登記法で認められていないと指摘した。その指摘に対して南野法相は、「公の業務があるときには、それと誤認するような称号は認められない。しかしこれから民営化されれば国の業務ではなくなるので、誤認するような恐れはないと考える」などと苦しい答弁を繰り返した。こうした不十分な答弁を受けて岩國議員は、今後引き続き追及していく姿勢を示した。

島議員、小泉首相の言葉の軽さを鋭く追及

2日午後、衆議院予算委員会の集中審議において、島聡衆院議員が質問に立ち、小泉首相らの言葉の軽さを鋭く追及した。

島議員は冒頭に、物事の「細部にこそ、色々なものが宿っている」と、小泉内閣の大雑把な政治手法に釘を刺した。そして第一に、森岡厚労政務官が行った「A級戦犯は罪人ではない」との発言を取り上げ、発言の責任について質問した。これに対して森岡政務官は当初、「自民党代議士会における一代議士としての発言である」と答弁したが、島議員に内閣の一員としての発言であることを指摘され、「小泉総理の方針に従う」との答弁を行った。島議員は、小泉首相の考え方が森岡発言と同じなのか、そうでなければ二枚舌であると鋭く迫ったが、森岡政務官は「総理の方針に従っている」との答弁を繰り返すのみで、島議員の質問の前に政治家の言葉が軽くなっている現実をさらけ出した。

第二に島議員は、日韓関係の悪化を取り上げ、予定されている首脳会談において、韓国大統領と靖国問題などを話し合うのかと質問。首相は、「首脳会談においては報道されていることだけが話し合われるのではない」とのみ答え、正面からの答弁を回避した。また島議員は、谷内外務事務次官の非公式会談における発言を韓国政府が問題にしていることについて、儀礼に反するとして、きっちりと抗議すべきではないかと質問したが、町村外相は、「一つひとつについて抗議するのが良いのかどうか」と曖昧な答弁を行うのみ。更に、日韓の自由貿易協定についての質問に対して、中川経産相は、「今年になって交渉が停滞しており困惑している」と答弁した。

島議員は第三に、政府の郵政民営化は官の肥大化を招くものであり、分割を検討しないのはなぜかと質問。首相は、「専門家の意見を聞いて考える」と答弁し、生田郵政公社総裁は、「ネットワークは切るべきではなく、銀行については当面は一本でいき、生保については民間も一本でやっている」と答弁した。さらに島議員は、郵便料金の値上がり率が物価指数一般よりも大きいことを指摘し、参入規制などを問題としたが、首相は「道路公団も民営化すれば料金を下げた」と大雑把な答弁を行うのみであった。

第四に島議員は、竹中郵政改革担当相が参議院選挙中、運動員に(平)マークの入ったTシャツを着せていたことを取り上げ、これが公職選挙法に違反すると追及した。これに対して竹中担当相は、(平)マークは平和、平成及び平サラリーマンの「平」であり、竹中平蔵の「平」ではないと滑稽な強弁を行った。

最後に島議員は、今回敢えてスキャンダルを取り上げたのは、「政治とカネ」の問題について、通常国会期末までに証人喚問を行うよう真剣に検討するよう促すためだと発言し、甘利予算委員長は各党理事間で協議すると発言した。

「説得しないまま中国を放置するのは総理として問題」岡田代表

岡田克也代表は2日、衆院予算委員会での質問終了後に国会内で記者団に答え、小泉首相とのやりとりについて印象を語った。

小泉首相の靖国神社参拝に関連して中国などが激しく反発している問題をめぐり、極東軍事裁判やA級戦犯に対する首相の認識を質した点について岡田代表は、「総理に答えがないことは明らか。従ってこのまま放置することになる。日本国総理大臣としては絶対にとるべき道ではない」と語り、靖国神社へは基本的には参拝すべきでないとする認識を示した。同時に小泉首相が靖国神社参拝を正当化するのであれば、不快感を示す中国等に対し十分な説得を行う必要があることを指摘。「それをしないのであれば、第三の道として辞めるしかない」と述べた。

郵政民営化をめぐる議論については「かなりすれ違っているので、特別委員会で詰めていく」として、ビジネスモデルとして成り立っていない郵政民営化を突き進めることは国の重要な財産である郵貯・簡保350兆円を損うことになりかねないと指摘した。《民主党ニュース》



6月2日 その日のできごと(何の日)