平成1763日目

平成5年11月5日(金)

1993/11/05

【ボクシング・鬼塚勝也選手】因縁の対決制す

チャンピオン鬼塚勝也(協栄)が因縁の再戦に決着をつけたが、再びタノムサク・シスボーベー(タイ)に苦戦した。5日、東京・有明コロシアムでの世界ボクシング協会(WBA)ジュニアバンタム級タイトルマッチ12回戦で、鬼塚は挑戦者のタノムサクを3-0の判定で下して四度目の防衛に成功し、日本人選手としてただ一人、世界の王座を守った。

昨年4月の同じ対戦で、疑問の声が挙がる際どい判定勝ちで王座に就いた鬼塚はスタートから激しく打って出た。タノムサクも重いパンチで反撃。一進一退を繰り返す目の離せない攻防となり、パンチの有効性ではタノムサクが優位とみられたが、中盤まで手数で攻勢を維持した鬼塚が終盤のピンチを懸命にしのいで判定勝ちをものにした。

日本のジムに所属する世界王者は、協栄ジム所属の世界ボクシング評議会(WBC)フライ級のユーリ・アルバチャコフ(ロシア)とWBAライト級のグッシー・ナザロフ(キルギスタン)と合わせ3人。《共同通信》

「勝者、赤コーナー」その瞬間、有明コロシアムのファンは総立ちになり、歓声が渦を巻いた。しかし、リング上の勝者、鬼塚勝也(協栄)に大きな喜びの表情はついに浮かんでこなかった。5日の世界ボクシング協会(WBA)ジュニアバンタム級タイトルマッチは因縁の対決といわれた。

チャンピオンベルトを懸けた前回昨年4月の対戦では、鬼塚が圧倒的に不利な態勢ながら、3-0の判定勝ち。「いかさま!」のば声が飛び交う中、王座に就き“疑惑の判定”と呼ばれた。鬼塚はその後、3度目の防衛戦の判定勝ちでも、日本ボクシングコミッションの保坂コミッショナーから「あれは負けていた試合」との発言も受けた。

疑惑は晴らさなねばならなかった。だから攻め続けた。しかしタノムサク・シスボーベー(タイ)も勝った試合に負けたのだから、チャンピオンの座への執念は同様に強かった。手数では鬼塚、有効打でタノムサクの図式を描いて、両者の怨念のこもったタイトルマッチは互角のまま終わり、上げられた手はまた鬼塚だった。《共同通信》



【細川護熙首相】福祉重視で予算編成

細川首相は5日の閣議後の閣僚級談会で、国民福祉と国民負担の在り方について「将来のあるべき社会のことが大事だ。全体像の中で税負担の対応をしていくべきだ」と述べ、税制の抜本改革と併せて細川政権として将来の福祉ビジョンの策定を積極的に進めていく考えを明らかにした。

これに関連して伊藤運輸相は「新たな社会政策目標を掲げて予算編成を行うべきだ」と指摘。大内厚相も「基本的な考えをまとめて来年度予算に反映して福祉を重視した予算の性格を持たせる」と述べ、福祉重視で来年度予算編成を進めることで出席閣僚の認識は一致した。

厚相は、ことし10月に発足した「高齢社会福祉ビジョン懇談会」(厚相の私的機談会、宮崎勇座長)の答申が来年3月に予定されており、来年度予算編成作業には間に合わないと説明した。これに対し首相は「経済改革研究会(平岩研究会)でも大きなビジョンの検討をお願いしている」と述べ、当面は平岩研究会を中心に予算編成に間に合うようビジョンづくりを急ぐ考えを明らかにした。

また、閣僚懇談会では自民党政権での社会保障論には財源問題に触れていないなど「立体的につくられていない」(大内厚相)などの批判が出されたほか、具体的な予算編成に当たっては既に決まっている概算要求基準の中で工夫することで一致した。《共同通信》

【細川護熙首相】「減税」に積極姿勢

連合の山岸章会長と日経連の永野健会長は5日昼、官邸に細川首相を訪ね、景気回復のための具体策として5兆円以上の所得税減税を年内にも実施するよう要請した。これに対し細川首相は「年内実施は物理的に無理だ。しかし減税は速やかにやらなければいけない」と必要性を指摘。

今月16日に政府税調の中間答申が提出された段階で、首相自身が減税実施に言及する可能性について「心理的側面を考えなければいけない。減税は真剣に考える」と述べ、年内に実親を明言した上で年度内にも減税に踏み切る考えを強く示唆した。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は5日、祝日をずらして3連休をより多くしようという「国民の祝日に関する法律」の改正問題について記者団に聞かれ「いやあ、うれしいねえ。そうなれば」と実現に意欲的な返事。このところ首相は政治改革法案が年内に成立するかどうかの瀬戸際を迎え、休日も連立一与党党首との会談をこなし6、7両日は韓国訪問という超多忙な日々だけに休日へ思いが募るのか、「飛び石よりもそういうふう(三連休)にした方が本当はいいんでしょうねえ」。政治改革を実現させ、早くゆっくり休みたいとの思いがにじみ出ていた。

○…この日、山岸連合会長と永野日経連会長は細川首相への労使共同減税要求を前に、都内で会談した。両氏の顔合わせはことし2月以来。来年の春闘を控え、冒頭から山岸氏が「9カ月ぶりの会談ですが、この間(永野氏の)賃下げ論などのロケットが飛んできた」とけん制すれば永野氏も「連合も与党なのだから、日経連と同じベースで日本のことを考えてもらえたらいい。そうしたら(考えは)一致する」と応酬。しかし、首相官邸にそろって乗り込む直前とあって「けんかは後回しにして、手を握りましょう」(山岸氏)とひとまず落着。《共同通信》

【ドイツ】失業者350万人突破

ドイツ連邦雇用庁が5日発表したところによると、10月のドイツの失業者数は350万人台を突破し、統一後最高となった。

長引く景気停滞で企業倒産が急増し、合理化のあらしが吹き荒れているためだ。労働市場の悪化は今後さらに加速し、400万人を超えるとの予測もある。

雇用庁によると、旧西ドイツの10月の失業者数は前月より7万800人増えて235万8800人となり、失業率は7.4%から17.6%に上昇した。旧東ドイツも6600人増加して116万5700人となり、失業率は15.2%から15.3%に拡大した。

この結果、ドイツ全体では352万4500人となった。雇用庁は「統一前のドイツ全体の失業者数の統計はないためそれ以前の数字は確認できない」としているが、DPA通信は「戦後最高」と報じた。ヤゴダ雇用庁長官は記者会見で「旧西ドイツの失業増大は景気後退に伴う構造転換のためで、情勢は極めて厳しい。旧東ドイツはそれほど変化はない」と指摘した。《共同通信》

【米・クリストファー国務長官】中国に人権改善要請

クリストファー米国務長官は5日、米国訪問中の中国の劉華秋外務次官と約30分間会談した。米国務省当局者によると、長官は中国に対し①人権政策の改善②大量破壊兵器の拡散防止③貿易不均衡の是正―など、かねてから米政府が懸案としている問題について中国側に進展を図るよう求めた。

また今月中旬、シアトルで開かれるアジア太平洋経済協力閣僚会議(APEC)に併せて行う米中首脳会談の議題、日程なども詰めた。劉外務次官は4日も、ターノフ国務次官(政治担当)ら同省高官と意見交換した。《共同通信》



11月5日のできごと