平成1683日目

1993/08/17

この日のできごと(何の日)

【甲府信金女性職員誘拐事件】富士川に遺体

甲府信用金庫大里支店(Y支店長)職員A子さん(19)=甲府市=が10日夕、雑誌の取材を口実に誘拐され、11日朝、同支店に男の声で現金4500万円を要求する電話があった。山梨県警捜査一課は身代金目的誘拐事件として南甲府署に捜査本部を設置し極秘に捜査していたが、A子さんは17日、静岡県富士宮市星山の富士川左岸で遺体で発見された。犯人の動きは11日夕の電話を最後に途絶えており、事件は発生以来8日目で最悪の結末を迎えた。

山梨県警は17日夜、静岡県警と合同捜査本部を設置した。A子さんは、首に粘着テープが巻かれていたことなどから誘拐直後に殺害され、投げ捨てられた可能性が強く、捜査本部は地元に精通した3人以上のグループの犯行とみて割り出しに全力を挙げている。

身代金目的誘拐事件は今回で戦後179件目、被害者が殺害されたのは32人目。A子さんは17日午前11時半ごろ、下着姿でうつぶせで倒れているのを釣り人が発見。富士宮署で指紋照合の結果、身元が確認された。検視の結果、死後約1週間。目立った外傷はなく、捜査本部は18日、山梨医科大で解剖、詳しい死因を調べる。遺体発見現場は甲府市から約50キロで、上流で投げ込まれ、流れ着いたらしい。同本部は脅迫電話の録音テープが犯人を特定する手掛かりになるとみて公開を検討、方言や声紋の鑑定を急ぐ。

これまでの調べによると、10日午後2時50分ごろ、山梨日日新聞社(本社甲府市)が発行する月刊誌「ザやまなし」の記者を名乗る男から甲府信用金庫本店(甲府市丸の内2丁目)に「雑誌の特集記事の写真にA子さんを取り上げたい」と電話があった。

A子さんは、午後5時半ごろ大里支店を退社。犯人が差し向けたタクシーに乗り午後6時ごろ約2キロ離れた小瀬スポーツ公園の体育館前で降りた。体育館の事務員に話し掛けたのが最後の目撃。同7時半、自宅に電話し父親のBさんと話したが帰宅せず、行方が分からなくなった。雑誌側は「取材の事実はなかった」と話している。

最初の身代金要求の電話は、11日午前8時20分ごろ40から50歳ぐらいの男の声で大里支店に電話があり、Y支店長に「職員を預かっている。覚せい剤を売りさばいているが、代金が未収になっている。11時までに4500万円を用意しておけ」などと要求した。犯人は11日夕までに計9回大里支店などに電話、現金受け渡しの方法を指示した。

犯人の要求で、Y支店長が指定時間より約50分遅れの11日午後6時前、山梨県境川村の中央自動車道境川パーキングエリア近くの道路斜面に現金を置いた。捜査本部は、多数の捜査員を張り込ませる一方、隣接都県警に広域配備したが犯人は現れず、電話で「京都ナンバーの白い車に「女の子がいる」としていた釈迦堂遺跡付近にも車は見当たらなかった。

おびき出しと脅迫電話の声は3人とみられ、役割を分担した計画的な犯行の疑いが強い。犯人は地元の人しか知らないような喫茶店やガソリンスタンドを連絡場所に指定していた。

A子さんは両親と姉(21)の4人家族で、甲府商業高校を卒業。ことし4月に甲府信金に採用されて大里支店に配属され、預金係の窓口業務を担当していた。《共同通信》

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【細川護熙首相】宮澤前首相と会談

細川首相と宮澤前首相は17日午後、静養先の長野県・軽井沢のホテルで1時間にわたって会談した。首相が就任後に会談の形で宮澤氏に会うのは初めて。

この中で首相が9月上旬にも召集される臨時国会に提案予定の政治改革法案について「現在の政治改革(論議など)をどう考えているか」と質問したのに対し、宮澤氏は「政治改革の実現を期待されて生まれた政権なので必ず成し遂げなければならないし、成し遂げられるだろう」との積極的な認識を伝えた。《共同通信》

【政界談話室】

○…夏休みを軽井沢で過ごしている細川首相は17日午前、旧細川家別荘跡地の並木道で、広報用の写真とビデオ撮り。1000坪という広大な敷地で、首相が長女智子さんとカツラ並木を散歩しながらバードウオッチングを楽しむという構図。若さを強調して白のカッターシャツとブルージーンズに、黄色のトレーナーを首に巻くいで立ちで現れた首相だが、「せっかく小鳥を見にきたのに、カラスの鳴き声ばかりじゃ仕様がないな」とのぼやきも。驚異の高支持率で好調の首相も、小鳥までは呼び寄せられなかった。

○…粕谷自民党幹事長代理はこの日、お盆休みだというのに自民党本部で副幹事長会議を招集。「向こうさんが休み返上でやっているのに、野党となった自民党がぼやぼやしてはいられない」と、あいさつではっぱ。会議でも「円高、冷夏対策など政府に先んじて党としての対策を発表すべきだ」などの勇ましい議論が百出した。一方で「自民党の調査団が水害に見舞われた鹿児島に入ってもマスコミはほとんど取り上げないのに、3日遅れで現地入りした社会党の上原国土庁長官には大騒ぎだ」と、ぼやくことしきり。冷夏の厳しさが、ひと際自民党には身にしみるよう。《共同通信》

【ロシア・チェルノムイルジン首相】領土返還交渉を拒否

チェルノムイルジン・ロシア首相は17日、択捉島で「自国の領土は決して渡さない。今後、この問題はだれとも話し合わない」と述べ、北方領土を返還せず、返還を前提にした交渉にも応じない方針を明らかにした。インタファクス通信が伝えた。 この首相発言について、クラシコフ・ロシア大統領府報道部長は同日、共同通信に対し、日本との平和条約締結後に歯舞、色丹の2島を返還すると明記した1956年の日ソ共同宣言について、「非現実的となった」と述べた。 インタファクスによると首相は同日、択捉島に向かう前、サハリンのユジノサハリンスクでも、北方領土問題は自分にとって「存在しない」と言い切った。

エリツィン大統領は今年10月半ばに日本を公式訪問する意向を表明している。しかし今回首相が個人的見解と断りながらも、「領土問題は存在しない」という冷戦時代の旧ソ連指導部と同様の強硬発言をしたことで、公式訪日の最大の焦点である北方領土問題の交渉に重大な影響を与えるのは必至で、事前の調整が難航すれば、訪日が3度延期されることもあり得る。

外務省は17日、チェルノムイルジン首相の発言について「保守派の人物であり、ロシア国内の一部の意見にすぎない」(同省筋)と指摘、あくまで個人的見解にすぎないと受け止めている。政府としてはエリツィン大統領の日本公式訪問の実現に向けた準備を予定通り進める方針。《共同通信》



8月17日 その日のできごと(何の日)