平成994日目

平成3年9月28日(土)

1991/09/28

【台風19号】15府県で死者47人

大型で強い台風19号は、勢力をやや弱めながら極めて速い速度で日本海沿岸を北東へ駆け抜け、28 日朝、北海道の渡島半島に再上陸、昼前にはオホーツク海へ抜けた。

北上に伴い、北陸や北日本では最大瞬間風速が50メートルに達する突風が吹き荒れ、24時間の雨量も多い所で100ミリを突破。同日正午現在、九州から北海道にかけての41都道府県で死者38人、行方不明5人、重軽傷者617人など、今年最大の台風被害をもたらした。 気象庁の観測によると、台風は正午現在、知床岬の北約120キロの海上にあり、時速約95キロで北東へ進んでいる。中心の気圧は970ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は三十数メートルで、中心の南東側520キロと北西側220キロ以内では風速25メートル以上の暴風となっている。台風は午後にも、温帯低気圧に変わる見込み。

警察庁がまとめた死者・行方不明者は福岡で8人、青森6人、山口、秋田で各5人など。住宅の全半壊は167棟、床上・床下浸水1万613棟にも上った。 停電も全国で約593万戸に拡大。九州の110万戸など約233万戸がなお停電したままで、最大規模の被害となった。 JR線は、上越新幹線が始発から正午過ぎまで新潟県下で運転を見合わせたまか、日本海側のほぼ全線の約二十路線で運休。空の便は全日空の東京—札幌便など計93路線193便が欠航、約2万9000人に影響した。

重文の能舞台の屋根が崩れ落ちるなど大打撃を受けた広島県の厳島神社は、台風の通過から一夜明けた28日朝、無残な姿をさらした。本殿や回廊などの植皮ぶきの屋根はいたる所でめくれ、被害は国宝、重文を含む建物群に広がった。このため、神社への参拝は中止となった。

【兼六園】台風被災で明治7年の開園以来初の休園

日本三大名園の一つとされる兼六園(金沢市)は28日、前日夜から吹き荒れた台風19号の強風で園内の樹木が多数倒れるなどの被害を受けたため、明治7年(1874年)以来初めて休園した。復旧作業を急ぎ、29日には開園したいとしている。《共同通信》

【自民党・金丸信氏】海部首相続投を支持

自民党竹下派会長の金丸信・元副総理は28日、鹿児島市内のホテルで講演し、来月の自民党総裁選への同派の対応について「マスコミで総裁選に対する世論調査をやっている。その調査を十二分に認識しなければいけないだろう。永田町の国会議員の考え方だけで決めるのは許されるべきものではない」と述べ、国民の支持率の高い海部首相の続投を支持する意向を改めて示唆した。《読売新聞》

【自民党・奥田敬和氏】政治改革取り組む候補支持

自民党竹下派の奥田敬和事務総長は28日、鹿児島市内のホテルで講演、来月の自民党総裁選に臨む同派の姿勢について、「(他派の擁立する候補が)政治改革に情熱を持たざる候補であれば、独自候補を立てて戦うし、あるいは他派の候補の中で一番、熱意と情熱を備えた人を支持して、国民の支持を訴えることになるのは間違いない」と述べ、政治改革に本気で取り組むかどうかが、支持の条件であるとの考えを明らかにした。《読売新聞》

【自民党・小渕恵三幹事長】「内閣高支持率、参院選結びつけたい」

自民党の小渕幹事長は28日、札幌市内のホテルで開かれた同党政経文化パーティーであいさつし、最近の世論調査結果について、「自民党も歴代にない(良い)結果をいただいている。海部内閣もいい支持率だ。竹下内閣は支持率3%で、それを考えると天と地の差だ。海部内閣の53%近い支持率は、たいへん。ありがたいことで、この支持率を継続して(来夏の)参院選、その後にも結びつけていきたい」と語り、海部内閣の高い支持率を評価した。《読売新聞》

【ソ連・ゴルバチョフ大統領】核軍縮で予備交渉

ソ連のゴルバチョフ大統領は28日、ソ連国営テレビに出演、ブッシュ米大統領が27日に発表した新しい核軍縮提案に関して、「全体として非常に肯定的に評価する」と述べながらも、すべての内容を具体的に評価するのは「ソ連にとってあまりにも尚早だ」と強調。ブッシュ大統領との間で、「非常に広範囲にわたる提案の内容を完全に明確化するため」、早急に予備的交渉の場を設定すること、また、その過程で、ソ連側が強く主張してきた核実験の全面停止を協議対象にする点で一致したことを明らかにした。

ゴルバチョフ大統領は、まず新提案について、ブッシュ大統領との間で、電話や親書による折衝があったこと、そのため、「私にとって意外性は無かった」と言明。また、提案が「ジュネーブ、レイキャビク、マルタ(首脳会談)以来の(核軍縮への)歩みの発展である」と述べ、自らの新思考外交の成果であるとの考えを明確にした。

とくに、ゴルバチョフ大統領は、「アメリカが核軍縮の分野で打ち出した『一方的イニシアチブ』である」ことを、米側が認めた事実に言及し、これまでの核軍縮について、「ソ連が一方的譲歩を続けている」とするソ連国内からの批判をかわす上で、新提案が有効、との認識を示した。

さらに大統領は、新提案について、ゴルバチョフ政権が推進しようとしてきたソ連軍需産業の民生移転にも、「新しい可能性を開いた」とし、ブッシュ大統領が公言したように、「新提案がソ連の民主化・人権擁護、市場経済化への側面援助となる」ことを認めた。

しかし、新提案の内容の評価について、ゴルバチョフ大統領は慎重な姿勢をみせ、その具体的内容を明確にするため、予備交渉のスタート、および、その際、核実験の全面停止をめざす交渉も合わせて進めることを要求、ブッシュ大統領も、これを受け入れたことを明らかにした。また、ゴルバチョフ大統領は「われわれも(米側提案に対して)帳じりを合わせるつもりだ」「双方の核実験停止に向けて、これまで考えられなかった一歩をソ連が踏み出す可能性が十分あると確信している」などと述べた。

ただ、この予備交渉が包一括的な核軍縮交渉の新局面一につながるものか、などについては明確でなく、今後、エリツィン・ロシア共和国大統領ら共和国勢力などとの調整が必要なことをうかがわせた。《読売新聞》

【天皇、皇后両陛下】タイの古都へ

タイ訪問中の天皇、皇后両陛下は28日午後、ワチュラロンコン皇太字、シリントン王女に伴われてバンコクから北へ440キロのタイ北部の都市スコータイ入りされた。

スコータイは、13世紀半ばから、100年以上にわたって栄えたタイ最初の王朝が築いた王都。両陛下が立ち寄るのは初めてで、ピサヌローク空港から市街地までの農村地帯の道筋では、日の丸の小旗を振って歓迎する子供たちに、車から手を振られる場面もあった。

同3時すぎ(日本時間同5時すぎ)からは、200近くの王朝時代の寺院遺跡が点在するスコータイ歴史公園を見学。炎暑の中、ノーネクタイ姿の陛下と、日傘をさされた皇后さまは仏塔や巨大な仏像からなるワット・マハータート遺跡、園内から発掘された文化財の数々を展示した国立博物館を訪れ、説明役の王族に質問するなど興味深げなご様子だった。

続いて夜には、同遺跡をライトアップした公園内の特設会場で、特別に用意された民族舞踊と劇をご観賞。光線や音楽、花火に彩られた華麗な歴史絵巻で、両陛下は盛んに拍手を送られていた。

両陛下はこの後、ピサヌローク空港からさらに北のチェンマイに移られた。29日は古都の日曜日を楽しまれる。

両陛下はこの日、台風19号が大きな被害をもたらしたことをお聞きになり、藤森昭一宮内庁長官を通じて、被害者へのお見舞いと関係者の努力へのねぎらいのお気持ちを国土庁長官、自治大臣に伝えられた。《読売新聞》

【ザイール】連合政権樹立で合意

反政府暴動により仏、ベルギー軍が進駐したザイールで、26年間独裁体制を維持してきたモブツ大統領が28日、反モブツ派勢力と連合政権を樹立することで合意した。

新首相には反政府勢力の民主社会進歩同盟リーダー、エチェンヌ・トシセケディ氏の名があがっている。また、今月中旬から休会となっていた民主改革を討議する国民会議を1日にも再開する見通し。

国営放送によると、先週の暴動で117人が死亡、150人以上が負傷、欧米人を中心にこれまで約8000人が国外へ避難した。

仏当局は仏空てい部隊800人が今後2週間、ザイール駐留を続けるとしている。《読売新聞》

【マイルス・デイビスさん】死去

ジャズのスタイルに新風を吹き込み続け、“帝王”としてモダンジャズ界をリードしてきたトランペット奏者のマイルス・デイビス氏が、28日朝、肺炎による呼吸不全などのため、米カリフォルニア州サンタモニカの病院で死去した。65歳だった。

イリノイ州の生まれ。1944年、モダンジャズの始祖と言われたチャーリー・パーカーを慕ってニューヨークに行き、ジュリアード音楽院で学ぶ一方、パーカーらと共演を重ね、実力を認められた。

編曲者のギル・エバンスと知り合い、48年に編成した九重奏団の演奏を「クールの誕生」としてレコード化。クールジャズの幕を開けた。59年の「カインド・オブ・ブルー」では即興演奏の新手法であるモード奏法を開拓し、その後に多大な影響を与えた。

60年代後半には、電子サウンドを取り入れ、ロックへの接近を見せた。69年の「イン・ア・サイレント・ウェイ」「ビッチェズ・ブリュー」は、70年代のフュージョンの出発点として高く評価されている。

50年代に麻薬中毒で苦しんだほか、自動車事故にも遭った。75年から81年まで活動を中止したが、見事に復活し、86年の「ツツ」、88年の映画音楽「シエスタ」で、シンセサイザーを導入した新しい音作りに挑戦し、“帝王”健在を印象づけた。

その一方、ハービー・ハンコック(ピアノ)、トニー・ウィリアムス(ドラム)、ウェイン・ショーター(サックス)ら、多くの逸材を育てた。

日本では、毎夏行われる「セレクト・ライプ・アンダー・ザ・スカイ」に85、87、88年と3回参加。イラストの才能を発揮して日本で個展を開いたこともあった。昨年は「ジョン・レノン生誕50周年」イベントなどで2度来日した。

人種差別や人権抑圧への関心も強く、積極的に慈善アルバムやコンサートに参加、発言した。今月初めから糖尿病などで入院していた。《読売新聞》



9月28日のできごと