平成888日目
1991/06/14
この日のできごと(何の日)
【ボクシング・畑中清詞選手】初防衛ならず
日本、再び無冠に―。世界ボクシング評議会(WBC)ジュニアフェザー級王者、畑中清詞(24)(松田)と同級8位で元王者のダニエル・サラゴサ(23)(メキシコ)のタイトルマッチ12回戦は14日夜、畑中の地元、名古屋市総合体育館で行われ、サラゴサが2-1の判定勝ちで王座を奪回した。
畑中が顔、サラゴサも頭を切り、激しい出血の中での壮絶な打ち合いとなったが、サラゴサの有効打がものをいった。日本でただ一人の世界チャンピオンだった畑中は、今年1月に奪ったタイトルの初防衛に失敗。日本は、1年4か月ぶりに再び無冠となった。 サラゴサは昨年4月に失ったタイトルを奪い返し、3度目の世界王座についた。(観衆1万人)
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上半身を血で真っ赤にした両選手が、リング中央で打ち合った最終ラウンド。会場に「キヨシ」コールが響き観衆は迫力に酔った。しかし、試合後はサラゴサの勝利を聞いても、不満の声はほとんどなく、畑中も「負けたと思った」と、判定に納得していた。
試合を通じ、攻め込んだのは畑中。サラゴサは終始、ロープを背にして戦っていた。だが、パンチの的確さは挑戦者が上。右のロングフック、左ストレートが畑中の顔面をとらえ、チャンピオンは四回、前の試合と同じ目の上を切った。畑中は「出血は気にならなかった」というが、これを境に、手数が少なくなった。 体は前に出るものの、力みが目立ち、パンチのスピードを欠く。「パンチが、ワンテンポずつ遅かった」と振り返ったように、再三カウンターを浴びた。パンチ力では自信のある畑中だが、これだけ打たれては体力も消耗する。終盤、両選手が足を止め打ち合う場面もあったが、畑中は手打ち。
9歳の年齢差を武器に、「終盤に持ち込めば勝てる」と踏んだ畑中陣営だったが、挑戦者は予想以上にタフだった。これが世界戦10戦目の「キャリア」というものなのだろう。《読売新聞》
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“尾張のロッキー”初防衛ならず−。14日夜、名古屋市総合体育館で行われたWBCジュニアフェザー級タイトルマッチで、中部地方出身者としては初の世界チャンピオン・畑中清詞選手=松田ジム、享栄高校出身、愛知県西春日井郡西春町在住=が、ダニエル・サラゴサ選手=メキシコ=に判定の末、苦杯。会場は、悲鳴と判定に対する不満の声が交錯した。
勝者、青コーナー、サラゴサ−。リングアナウンサーは二度繰り返した。同体育館レインボーホールを埋め尽くした1万人の観客は、一瞬事態がのみこめない。会場のムードは畑中防衛だっただけに「エッ」「なんでだ」と声があちこちから上がる。終始、攻勢に出ていた畑中選手。白色トランクスを額から流れる血で朱に染めながらも、サラゴサをロープに追いつめ、パンチを繰り出し、何度も客席から「キヨシコール」がわき起こった。
「あれで負けかな」。最列で戦況を見守っていた。鈴木愛知県知事は割り切れない表情を見せ、畑中選手の母・紀子さん(48)も「どうして」とつぶやいた。観客はみな残念そうな表情だ。ったが、映画の「ロッキー」のように再起を期待し、試合後は大きな拍手で、畑中選手をねぎらっていた。《中日新聞》
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【プロ野球・阪神】トンネル脱出
中日4−13阪神◇14日◇甲子園
阪神が今季チーム最多の13点を挙げる突然の猛攻を見せ、6月の初勝利。連敗を「10」で食い止めた。
効力があったのは真弓の働きだった。三回一死満塁で山田の外角寄りストレートを初級から右へ狙い打つ代打満塁本塁打(今季両リーグ初)。これで8−0と差を広げて連敗に沈むチームを勇気づけた。五回に与田から奪った左への2打席連続の本塁打も、先発の中西が打ち崩され4点差と追い上げられた直後だけに価値があった。
中日はアンダーソンをはじめ繰り出した5投手が連打を喫し防戦一方。7連勝でストップした。《共同通信》
【雲仙・普賢岳】溶岩ドーム急成長
激しい活動を続けている。長崎県雲仙・普賢岳(1359メートル)の地獄跡火口は以前より二倍以上に成長した大きな溶岩ドームが出現していることが、自衛隊へリコプターなどによる上空からの観測で14日朝、確認された。火山噴火予知連絡会によると、同火口付近は新たなマグマのせり上がりで、依然、緊張状態が続いており、「今後も爆発的噴火、火砕流を引き起こす恐れがある」として、厳重な監視を続けている。
この日早朝、上空から観察した鹿児島大理学部の小林哲夫助教授(火山学)によると、成長した溶岩ドームは幅約100メートル以上、長さ100メートル、高さ50メートルになっている。
11日深夜、7、8キロ離れた有明海沿岸部まで多量の噴石を飛ばす爆発的噴火を起こして以来初の直接観察で、せり出した位置は噴火前と同じだが、幅、高さとも二倍以上になっていた。ドームの先端部分は、東側斜面にせり出す形で、不安定になっている。
また、九州大などが山頂をとり巻く形で設置している傾斜計のデータによると、12日午前、急激な膨張を示していた山頂付近は、13日朝までにその3分の2まで収縮したあと止まっていた。
しかし、活発なマグマ上昇が続いているとみられ、加茂幸介・火山噴火予知連会長代行は「爆発的噴火の可能性は依然残っている。ドームの崩壊による火砕流も発生しているほか、火道内のマグマの発泡を示す長周期の震動(微動)も続いており、爆発的噴火やそれに伴う大規模な火砕流に対しても十分な警戒が必要」と注意を促している。《読売新聞》
【長崎県島原市】初の集団移転へ
長崎県島原市は14日、雲仙・普賢岳の相次ぐ火砕流に襲われた同市北上木場、南上木場両町の再建が困難として、98世帯405人を同市内に初めて集団移転させる方針を固めた。住民の意向を受け決断したもので、近く集団移転計画をつくり、国に申請する。
両町は、水無川の最上流域にあり、3日以降の度重なる火砕流でほぼ全戸が焼失、埋没したほか、葉タバコ、ジャガイモなどの農地もたい積物に覆われ、全住民が市内の避難所や親類、知人宅で生活している。
すでに5月24日からの集団避難生活は20日に及び、火山活動が長びくことは必至の情勢であることなどから、住民の間から「できれば地域ぐるみで集団移転を」との要望が出されていた。
鐘ヶ江管一市長は同日「両町住民は家も畑も焼かれ、帰っても生活できない」と述べ、島原市内の別の土地に移転させたい意向を明らかにした。《読売新聞》
【海部俊樹首相】日本が環境問題の先導的役割を
海部首相は14日午前、首相官邸で開いた「地球環境保全に関する関係閣僚会議であいさつし、「(日本が地球環境問題の)先導的役割を果たしていく必要がある。先進国首脳会議(サミット)の場でも、積極的に貢献していきたい」と述べ、サミットの場で、地球環境問題を積極的に取り上げていく考えを示した。
また、首相は、「わが国の経済の安定的な発展と(環境問題と)の両立を図り、環境保全型社会形成に努める」として、内政面でも環境問題を重視していく姿勢を強調した。
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政府は14日午前、第5回「地球環境保全に関する関係閣僚会議」を開き、「平成3年度地球環境調査研究総合推進計画」を決定した。また会議には、各省庁が今年度に予定している「地球」温暖化防止行動計画関係施策」が報告された。
「推進計画」の策定は今回が2回目だが、今年度の予算は4670億円。国立環境研究所(つくば市)・地球環境研究センターが地球環境モニタリング計画の一環として実施する沖縄県・波照間島の温室効果ガス無人モニタリングステーションの建設や、神戸—釜山間の日韓定期フェリーを利用した海洋環境モニタリング事業が決まった。《読売新聞》
【社会党】安保、自衛隊を事実上容認
社会党改革委員会(田辺誠委員長)の起草小委員会は14日、党機構の大幅改編、基本政策見直しなどを盛り込んだ改革案の素案をまとめた。
安保、自衛隊、朝鮮半島、エネルギーの基本政策について修正、転換を図り、自衛隊については、縮小・改組を打ち出した上、「違憲の状態からの脱却を目指す努力の過程を、平和憲法を具現することに沿った道筋として認める」として、事実上容認。同党の「中立・非同盟」政策の見直しとともに、サンフランシスコ講和条約に対する従来の反対の方針を転換することを明記。また、新宣言見直しのための委員会設置もうたっている。《読売新聞》