平成628日目

平成2年9月27日(木)

1990/09/27

【海部俊樹首相】協力隊は憲法の枠内

海部首相は27日夕、首相官邸で記者会見し、国際的な平和維持・回復活動への貢献のため国連平和協力隊創設を柱とする国連平和協力法(仮称)に関する基本的な考え方を明らかにした。

この中で首相は「平和憲法」の理念に基づき、国連の平和回復活動の非軍事的な分野に限って、自衛官の組織参加も含めた協力隊を派遣することを強調。協力隊に参加する自衛官らの武器携帯問題に関し「原則非武装で行ってもらう。(戦闘の)危険を伴う所へは行かせない」と丸腰を明言し、法案とともに、派遣先や任務内容、行動様式を盛り込んだ行動指針を作る考えを明らかにした。

自衛隊の輸送機や補給艦など後方支援装備の使用についても「グループとして入ってもらう場合使えるように法整備するのが目的にかなっている」と述べたが、中国など近隣アジア諸国の対日懸念に配慮して「平和部門に限った協力」であることを対外説明する考えを示した。

首相は協力法の基本理念について、①国連決議に関連した平和活動への協力体制を整備する②憲法の枠組みの中で、武力による威嚇、行使を伴わない派遣とする③広く官公民の各界から参加を求める–などと説明。東西対立の冷戦構造が崩れ、世界の新秩序が模索される中で日本としても「国連中心主義の立場から平和回復活動への支援」をする必要性を指摘した。

首相は、協力隊派遣は「武力行使を伴わない非軍事面協力で、憲法には抵触しない」と断言、集団的自衛権行使には当たらないとの考え方を示した。《共同通信》




【近鉄・野茂英雄投手】20試合2桁奪三振

近鉄11−2西武◇27日◇西武

野茂が12三振を取り、シーズン20試合2けた奪三振のプロ野球記録に並んだ。

野茂はいつもよりコントロールが良く、早めに打者を追い込み直球、フォークボールで勝負、大差がついた六回で降板し、楽々と16勝目を手にした。

右ひじ痛が回復した郭は先発で5回9失点と散々だった。制球が悪く二回には4四球を与えて3点を失い、五回は4長短打を浴びるなど球威不足も露呈。日本シリーズへ向け、大きな課題を残した。デストラーデは六回に野茂から37号本塁打し、トップの石嶺(オリックス)に追い付いた。《共同通信》

【政界メモ】べらんめえ調で上機嫌

◯…海部首相は27日、自ら記者会見して国連平和協力法案の骨子発表を前に記者団から心境を聞かれ、調整の難航で前日までの苦虫をかみつぶしたような表情から一転、明るい顔で「何事も一全力を挙げて力を尽くしていくということです。よ」。「外遊の荷づくりはできたか」と水を向けられても「荷づくり(の時間)なんて、ねえよ」と板につかないべらんめえ口調まで披露する上機嫌で、「中東に行っても実務をやらねばならんから、目いっぱいスケジュールが詰まっているんだ」と、得意の一生懸命ぶりを強調した。

首相周辺は「まだ山越えの峠に着いたあたり」というのに、首相は既にひと山越えたという安心感をあふれさせていた。

◯…この日開かれた与野党党首会談で、社会党の土井委員長は海部首相の到着を待つ間に、自民党の加藤政調会長に「何をそんなにいらついているの」と声を掛けた。加藤氏が「臨時国会をどうしようとか、消費税見直しもあるし」と答えると、土井氏は「駄目なことは駄目。駄目なことといいことがある」と最近得意の原則論を強調。

小沢幹事長が「いいことはいいと言えばいい」と割って入ると、土井氏はきっとなり「いいことがあればね。何かいいことをやって下さい」と言い返し、ようやく到着した首相に目もくれず、“いい、駄目論争”。《共同通信》

【天皇陛下】稲刈り

天皇陛下は27日午後、皇居・生物学御研究所わきの水田で稲刈りをされた。

昭和天皇を引き継いだ行事だが、今回は陛下ご自身が昨年秋に収穫した稲の種をことし4月にまき、田植えをして収穫するという一貫作業が完結“平成流”の新スタイルが確立した。

230平方メートルの水田に実ったことしの稲の作柄は「平年並み」。曇り空の下、陛下は軽装で、もち米の「マンゲツモチ」など20株を刈り取られた。収穫された稲の一部は来春の種まき用に保存、根付きの稲は伊勢神宮の神嘗祭に供えられる。《共同通信》

【中山太郎外相】中国・銭其琛外相と会談

中山外相は27日午後(日本時間28日早朝)、中国の銭其琛外相と国連本部で約50分間会談した。この席で銭外相は、自衛隊を含めて国連平和協力隊を創設する日本の国連平和協力法案(仮称)について「中国にとっては敏感な問題だ。日本政府は慎重に事を運ぶよう強く期待する」と述べ、慎重な対応を求めた。

中東貢献策に絡む自衛隊の海外派遣をめぐっては22日、訪中した竹下元首相に江沢民共産党総書記も既に「過去」との関連で懸念を表明しており、中国側の警戒感を改めて裏付けた。

会談で中山外相は国連平和協力法案について、あくまで国連の平和維持活動に貢献するものであることを強調、「中国やアジアの諸国が過去の問題から起因する不安があることは理解しており、一貫して慎重さを保って対応してきた」と理解を求めた。

これに対し銭外相は「過去の歴史にある意味で関係してくる」と指摘、「平和維持のための人員派遣と実際の兵力派遣とは違うということだが、慎重に事を運ぶように」と要請した。

二国間関係で中山外相が「竹下元首相、保利文相の訪中を機に、閣僚級の交流が活発化することを期待する」とした上で、自らの訪中希望を伝えたのに対し、銭外相も「招待したい」と述べた。

中山外相は①カンボジア問題への中国の取り組みに敬意を表する②中国から日本に来た難民で未帰還の約1000人を早期に引き取ってほしい—などと述べた。中東情勢では銭外相が「時間がかかろうとも、武力使用によらないあらゆる。政治的な解決を目指して努力すべきだ」と強調した。《共同通信》




9月27日のできごと