平成468日目

1990/04/20

この日のできごと(何の日)

【中国民航機乗っ取り事件】容疑者引き渡しは妥当

中国民航機乗っ取り事件の張城海容疑者(36)の中国側への身柄引き渡しについて審査していた東京高裁(船田三雄裁判長)は20日、「張容疑者のハイジャックは政治犯罪ではない。本件は逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する」との決定を下し、東京拘置所に拘禁中の張容疑者のほか補佐人団、検察側双方に通知した。

決定を受けて法務大臣は早ければ21日にも身柄の引き渡しを東京高検に命じる見通し。一方、補佐人団はこの決定を不服として最高裁あての特別抗告申立書を同高裁に提出した。ハイジャックが政治犯罪かどうかをめぐって争われた日本では初めてのケースで、今回の決定は国内外の人権擁護団体などから厳しい反発を招きそうだ。

船田裁判長は政治犯罪かどうかの判断基準について「政治犯罪は一国の政治体制の変革を目的とする行為だ。個々のケースが政治目的を達成するのに直接的で有用な関連性を持っているかという点や、結果の重大性と行為の目的を対比して均衡を失っていないかどうかなどで判断すべきだ」とした。

同裁判長は「天安門事件に参加した」という張容疑者の供述やフランス亡命中の中国人活動家岳武氏(42)の証言には疑問があるとし、「張容疑者は民主化運動で重要な地位に就いていたとは認められず、事件に参加していたとしても一参加者にすぎない。出国の動機は公金着服などで処罰を受けるよりも国外に脱出したいとの点にあったのではないか」と述べた。その上で「ハイジャックのような危険で重大な犯罪が、政治犯罪としての保護を受けにくくなるのはやむを得ない」「今回のケースは直接には本人とその家族の国外逃亡を目的としたもので、政治目的との直接の関連がない。天安門事件による処罰が切迫していた様子は全くみられない」と補佐人団の主張を退けた。

また補佐人団の「中国に引き渡せば死刑に処せられる恐れが強い」という主張に対しては「中国政府は中国刑法107条(航空機破壊の罪=懲役3年以上10年以下)以外では裁かないと公式表明しており、これは中国政府の正式保証と認めるに十分。国際信義上信用すべきで、張容疑者に死刑適用の余地はない」と述べた。《共同通信》

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【政府】ソ連のリトアニア制裁に憂慮の念

坂本官房長官(外相臨時代理)は20日の閣議で、石油供給の全面停止などリトアニア共和国に対するソ連の制裁措置について「強い憂慮の念をもって受け止めざるを得ない」と、制裁実施後日本政府としての見解を初めて表明した。

この後の記者会見で坂本長官は、今後の日本政府の対応について「グローバル・パートナーシップ(地球的規模での協力)」に基づき米国と密接な協議に入ったことを明らかにした。しかし具体的な対応措置については「いかなる対応がいいのか、検討中だ」と述べるにとどまり、米国だけでなく欧州諸国の出方も含め、引き続き慎重に情勢を見守っていく姿勢を示した。

政府は20日までに在ソ日本大使館を通じ、ソ連政府がリトアニア共和国に対し①石油の全面供給停止②天然ガスの80%削減―の制裁措置を実施したことを正式に確認した。これを受け、坂本長官は外相臨時代理として同日の閣議でリトアニア情勢を報告し①政府としては重大な関心を持ち、事態を注視し、ソ連政府に強権的手段の行使の自重を求めてきた②しかし、残念ながらソ連側は制裁措置の実施を開始した―として「憂慮の念」を表した。同時に今回の措置が速やかに解除され、平和的な話し合いが開始されるよう改めて求めた。《共同通信》

【海部俊樹首相】与野党協議を重視

海部俊樹
https://www.kantei.go.jp/

海部首相は20日午前、国会内で奥田自治相、坂本官房長官と26日に予定される選挙制度審議会(首相の諮問機関、小林与三次会長)の答申を受けた後の政府の取り組み方について協議した。

首相は「公約通り不退転の決意で進める。政府一体になってやるのはもちろん、各党とも連絡をとり、論議を踏まえて進めていく」と指示。選挙制度改革などの原案づくりの過程で、与野党の協議を重視することを確認した。

これに対し、奥田自治相は「国民の世論に配意しながら、各党の血の出るような論議の中からできるだけ接点を求められるよう最大限努力する」と述べた。

首相は当初、選挙制度改革などについて「答申の趣旨を最大限尊重し案をまとめ、各党各会派に示し意見を聞きたい」と、まず政府案をまとめ、その後に各党に提示するとの手順を表明していたが、答申の骨格が明らかになるにつれ、野党ばかりでなく自民党内からも不満が続出したことから、こうした事態を配慮、法案化に当たって与野党協議を重視する考えを示したとみられる。《共同通信》

【金沢市】大学生が銀行強盗

20午後2時16分ごろ、金沢市泉三丁目、北国銀行泉支店にサングラス姿の若い男が手りゅう弾ようのものを持って押し入り、金を出すよう要求したが、同支店職員が男のすきを見て非常通報し、同20分、駆けつけた県警警ら隊員が男を強盗未遂の現行犯で逮捕した。逮捕されたのは金沢市内に住む私立大学生(19)で、金沢中署の調べでは、この大学生は昨年春に入学したものの、入学直後、精神神経症の診断書を出して休学していた。

持っていた手りゅう弾は鉄製のおもちゃ(高さ10センチ、直径5.5センチ)で、10年ほど前に購入したと供述している。

調べでは、この大学生は同支店正面入り口から入り、預金窓口にいた女子職員に手りゅう弾のおもちゃを見せて「お金が欲しいんですけど」と要求した。女子職員は大学生がすごむでもなく、おどおどと頼りないことなどから、直ちに非常通報のボタンを押すとともに、支店長(48)を呼んだ。同支店長に対し、大学生は再び、手りゅう弾を見せ、「ピンを外すと爆発する。ホンマもんや。お金」が欲しい」と脅したものの、連れていかれた同支店内の応接室で「警察を呼んでくれ」などと訳の分からないことを再三口走り、駆けつけた警ら隊員に取り押さえられた。《北國新聞》

【横綱大乃国関】3カ月ぶりの土俵

1月の大相撲初場所千秋楽に足首を骨折して3月の春場所を全休した横綱大乃国=放駒部屋、北海道出身=が20日、負傷後初めてまわしを締めてけいこ場におりた。しかし、まだ左足首を包帯で固定し、シコも踏めない状態。本格的なけいこ再開とはいえず、夏場所(5月13日初日・両国国技館)の休場も確実とみられる。

大乃国は1月末に都内の病院を退院した後、杉並区内の自宅から通院治療を続けた。その一方で、自宅近くのアスレチッククラブに通い、プール内での歩行や自転車こぎなど一日3時間程度のリハビリテーションに励んできた。回復は順調で、日常的な歩行などに支障はない。ただ大乃国本人は「どうしても足首をかばってしまう感じで、引きずるようになる。力をかけたりすると痛みもある」と訴え、申し合いなどのけいこをするまでには、まだかなりの時間が必要だ。

この日は、師匠の放駒親方(元大関魁傑)の「回復具合を確かめたい」との希望を受けてけいこ場に降りたものの、シコ、テッポウもやらなかった。時折、若手のけいこにアドバイスをおくるだけに終始した。それでも1月21日の初場所千秋楽から約3カ月ぶりに味わう土俵の感触は、やはり心地よさそう。

リハビリ中の2月27日には長女が誕生し、笑顔ものぞく。だが、復帰がいつになるかとの問いには、「一日も早く、という気は変わらない。でも出るからには万全の状態で場所に臨みたいと思うし、焦らないでリハビリに集中したい」と言葉を濁した。

放駒親方は「横綱として出る以上は、相応の覚悟が必要。いつまでという期限は切らずに、体をいい状態に戻すのが先決だ。状態が悪ければ、続けて休むこともあり得る」と夏、名古屋場所(7月8日初日・愛知県体育館)連続休場もほのめかした。《共同通信》

【リトアニア】ソ連を非難

ゴルバチョフ・ソ連政権による経済制裁下にあるリトアニア共和国のオゾラス副首相は20日、ビリニュスで記者会見し、制裁が食料品の供給にまで及んでいることを明らかにし「これは(対リトアニア)封鎖措置の一環だ」とゴルバチョフ政権を強く非難した。地元ラジオ局当局者によると、副首相は、キューバから砂糖キビを積んでリトアニアに向かっていた2隻の船が、目的地変更を強いられたほか、隣のラトビア共和国から到着する予定だった魚も他へ送られたと語った。

農業国であるリトアニアが、砂構キビや魚の供給難で直ちに食料不足になることはないが、供給停止が他の食料品にも拡大すれば、共和国民の日常生活を一層脅かすのは間違いない。記者会見に同席したランズベルギス最高会議議長は、ソ連が制裁によって共和国の失業者を増やし、社会不安を引き起こそうとしていると語った。

共和国最高会議幹部会は20日、ゴルバチョフ大統領とソ連最高会議あてに声明を送り、経済制裁を非難するとともに、独立問題での交渉開始を改めて求めた。

声明は、先に大統領が共和国に対する書簡で①共和国での徴兵中止決定②共和国独自の身分証明書発行決定③党資産の分配問題―の三点に関し、関連の法律・決定を撤回するよう要求、制裁を警告した問題で、共和国側の立場を説明したが、撤回そのものには応じなかった。《共同通信》



4月20日 その日のできごと(何の日)