平成1910日目

1994/04/01

この日のできごと(何の日)

【朝日新聞】東京本社に右翼乱入

1日午後1時20分ころ、東京都中央区築地、朝日新聞東京本社の本館ビル15階に、右翼団体「大悲会」メンバーの男2人が、短銃と日本刀、ダイナマイトを持って押し入り、同社幹部ら2人を人質にして同階の役員応接室に立てこもった。警視庁公安部と築地署は大売るの中台一雄会長を朝日新開社に呼び出し説得に当たらせた結果、発生から約6時間後の午後7時10分すぎ、人質を解放。同部は2人を逮捕監禁、銃刀法違反などの現行犯で逮捕、室内にあった短銃1丁と実弾8発やダイナマイト4本などを押収した。ダイナマイトの雷管は持っていなかった。人質の2人は無事だった。

連捕されたのは大悲会会長代行内A(41)=神奈川県横須賀市、同会会員B(29)=川崎市幸区=の2容疑者。人質なったのは朝日新聞広報担当社員待遇のCさん(57)と秘書部長Dさん(51)。A容疑者らは「戦後体制における朝日新聞などマスコミの責任を問う」との内容のビラ約10枚を役員応接室の窓からばらまいたといい、公安部は2人が朝日新聞の報道論調に反発して犯行に及んだとみて、詳しい動機や背後関係を追及する。

調べによると、A容疑者らはエレベーターで15階まで行き、ガードマンに「おれたちは昨年10月に(朝日新聞東京本社内で)短銃自殺した野村秋介・大悲会元会長=当時(58)=の門下生だ。社長に会わせろ。けがはさせないから」などと言って、役員室などのドアを次々に開けて回った。別のガードマンが駆け付けると「これは本物だ」と言って短銃を壁に向けて一発発射。「ダイナマイトも持っている」と示し、そばに一いたCさんの腕をつかむなどして役員応接室にら致。
15階フロア入り口に机などでバリケードを築き立てこもったという。

公安部の説得に対し、A容疑者らは当初、拒否の姿勢をみせていたが、中台会長が午後6時半すぎから2回にわたり役員応接室に内線電話をかけ「人質を傷つけるな」などと呼び掛けたところ、人質解放に応じたという。

2人が侵入した当時、15階には中江利忠社長をはじめ同社役員ら約10人がいたが、けが人はなかった。公安部によると、A容疑者は一昨年11月、東京都港区の金丸信前自民党副総裁宅前で自分の車に火炎瓶を投げ込むなどして、公務執行妨害で現行犯逮捕されている。B容疑者は野村元会長の秘書兼運転手だった。《共同通信》

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【中村喜四郎前建設相】起訴

埼玉土曜会談合事件の刑事告発見送りに絡む汚職で、東京地検特捜部は1日、あっせん収賄罪で前建設相の中村喜四郎容疑者(44)=茨城3区、自民党を離党=を起訴した。中村被告は取り調べに完全黙秘を貫き、公判では全面否認するとみられる。

昨年3月の前自民党副総裁金丸信被告(79)の脱税事件から1年余りにわたったゼネコン汚職捜査は、今回の起訴で中村被告の秘書や金丸被告らの参考人聴取を除き事実上終了。特捜部は引き続き、捜査の過程で浮上したゼネコンから政治家へのヤミ献金について政治資金規正法違反の有無などを調べる。《共同通信》

【参院本会議】暫定予算成立

国会は1日、与野党が細川首相の義父名義のNTT株購入をめぐる証券コンサルタント藤木周蔵氏の参考人招致で原則合意し、空転が打開された。これを受け11兆514億円の平成6年度暫定予算(期間50日)が同日夜の参院予算委員会、同本会議で、連立与党と自民党などの賛成多数(共産反対)で可決、成立した。

暫定予算成立が年度を越えたのは、最近では昭和63年や衆院解散のあった平成2年に次ぐもので極めて異例。これにより焦点は衆院予算委員会での本予算審議に移るが、審議入りのめどは依然として立っておらず、政府与党の苦境が続きそうだ。

与党側は午後の代表者会議で「同日中の暫定予算成立」の方針を確認したのを受け「参考人招致の日程などについては手続きに従い、後日協議する」と提案。最終的には藤木氏招致の明記を求める自民党の逆提案を受け入れた。《共同通信》

【自民党特別委】「細川首相と佐川急便は深く長い関係」

自民党の「細川首相の疑惑に関する調査特別委員会」(松永光委員長)の調査団は1日、熊本県入りし、首相が同県知事時代に開発を許可した阿蘇のリゾート施設などを視察。午後には自民県連幹部ら14人から首相の佐川急便1億円借入金の使途と熊本県知事選との関係などについて当時の事情を聞いた。

記者会見した松永委員長は、知事選前年の82年春から暮れにかけて、首相と当時の現職知事の間で激しい自民党後公認争いがあったことを指摘するとともに「首相が知事当時、県内に佐川の事務所が相次いで開設されるなど首相と佐川の関係は深くて長い」と強調した。《共同通信》

【政界談話室】

○…細川首相は1日、ドイツ・ハンブルクの「桜の女王」ブリッタ・マティーゼンさんの訪問を受け、にこやかな表情を見せた。日本への留学経験のあるマティーゼンさんは「そうでございます」などと流ちょうな日本語で応答。首相は「敬語も分かるんですね」と感心しながら、片手で周囲の記者団を指し「この辺にはできない人が多いんですよ」と強烈な当てこすり。この日も「暫定予算が年度内に成立しなかったのは首相の責任ではないか」と記者団から厳しい質問を浴びせられただけに、外国からの折り目正しい来客に、ひと時の安ど感を覚えたようだ。

○…この日、自民党の佐藤信二財務委員長は同党役員会で「国会の状況を見ると内閣総辞職や衆院解散も視野に入ってくる。皆も危機感を持ってほしい」。さらに同党が、新選挙制度の下で総選挙を終えたばかりのイタリアに調査団を派遣することについて「外遊は政局が静かな時に行くものだ。どうせイタリアに行くのなら小沢(新生党-代表幹事)がイタリアで何をしたのかを調べた方がいい」と、訪欧から帰国した小沢氏まで引き合いに出して苦言をひとくさり。ついでに「こう言うのも、財務が厳しい状況にあるからだ」と台所事情の苦しさを訴えた。《共同通信》

【中国】魏京生氏を再拘束

北京の消息筋によると、中国の著名な民主化運動活動家、魏京生氏(44)は1日午後5時(日本時間同6時)ごろ、北京市郊外で身柄を拘束された。

中国政府は6月の天安門事件5周年を前に記念抗議行動へ警戒を強めており、魏氏の再拘束は民主化運動の再発防止が狙いとみられるが、人権状況改善を6月の対中最恵国待遇(MFN)延長の条件とする米国の反発を招くのは確実。魏氏は3月初め、クリストファー米国務長官の訪中を前に一時拘束された後、公安当局の要求で北京を離れ、約1カ月ぶりに車で北京に戻る途中だった。

消息筋によると、魏氏の車は天津―北京間の高速道路を走行中、7台の公安の車に強制停止させられ、公安当局者は魏氏に裁判所の召喚状を見せて連行した。魏氏は昨年9月、14年半の獄中生活を終えて釈放された後、民主化を求める持論を外国マスコミにたびたび発表、2月には北京でシャタック米国務次官補と面会し、中国に対して民主化圧力をさらに強めるよう求めるなど大胆に活動を続けていた。

中国政府は同次官補が魏氏に会ったことを強く非難。外務省スポークスマンは魏氏は政治権利剥奪期間中であり、外国人記者や外国の外交官に会うことはできない、と警告していた。《共同通信》



4月1日 その日のできごと(何の日)