平成5219日目
2003/04/23
この日のできごと(何の日)
【プロ野球・オリックス】石毛宏典監督を解任
プロ野球のオリックスは23日、西武6回戦が行われた札幌ドームでの試合終了後、石毛宏典監督(46)の解任を発表した。後任監督には打撃コーチのレオン・リー氏(50)が就任する。
石毛監督は昨季、3年契約で監督に就任。1年目は序盤から低迷し、50勝87敗3分けでオリックス初の最下位に終わった。今年は前大リーガーの吉井理人、マック鈴木両投手らと契約するなど積極的な補強をし、戦力アップを図った。しかし、今季も開幕4連敗を喫するなど不振が続き、23日現在で7勝12敗1分けの最下位だった。
記者会見した石毛監督は「ファン、OBの方々に対して大変申し訳ない気持ちでいっぱい」と無念の表情を浮かべながら話した。
レオン新監督は米国出身。現役時代、兄のレロン・リー氏とともにロッテの中心打者として活躍。大洋(現横浜)、ヤクルト時代を含めた10年間で通算1255試合に出場、打率3割8厘、268本塁打をマークしている。長男のデレクは米大リーグ、マーリンズの一塁手として活躍している。《共同通信》
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【ヤクルト・高津臣吾投手】通算230セーブ
ヤクルトの高津臣吾投手(34)は23日、東京ドームで行われた巨人4回戦で今季4セーブ目(0勝2敗)を挙げて、通算230セーブのプロ野球新記録を達成した。
16日の阪神戦で佐々木主浩投手(横浜-マリナーズ)の229セーブに並んでいた高津は、8-6の9回から登板して逃げ切った。また、救援勝利と合わせたセーブポイントも通算257で、佐々木の持つプロ野球記録269にあと12。
高津は広島・広島工高から亜大を経て1991年にドラフト3位で入団。93年5月2日の巨人3回戦(東京ドーム)で初セーブを記録。94、99、2001年に最優秀救援投手のタイトルを獲得した。《共同通信》
【大相撲夏場所】番付発表
日本相撲協会は23日、夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。横綱昇進2場所目を迎える朝青龍が初めて東正位に座り、武蔵丸は11場所ぶりに西に回った。
大関陣は春場所を制した千代大海が東正位。公傷全休明けの栃東と、先場所を途中休場した武双山はともにかど番となる。旭天鵬が3場所ぶりで小結に返り咲き、東関脇若の里は9場所連続で三役を務める。
新十両はグルジア出身の黒海のほか、学生相撲出身の内田改め普天王と田中改め魁道の3人。これで学生相撲出身の関取は、過去最多の27人になった。《共同通信》
【日産自動車】純利益33%増
日産自動車が23日発表した2003年3月期決算見通しによると、連結ベースの自動車事業の有利子負債は3月末でゼロになる見通しだ。ルノーから派遣されたカルロス・ゴーン社長が、就任後わずか4年で約2兆1000億円の負債を解消したことになり、過剰債務に苦しむ企業が多い中、日産の急激な業績回復ぶりをあらためて見せつけた。
ゴーン社長は同日の記者会見で、「再建が現実になった。今や日産は(世界市場の)ペースメーカーの役割さえ果たしている」と成果を強調。本年度は世界で10の新型車を投入し、前年比で9.7%多い304万台の販売を目指すことを表明するなど、攻めの戦略を加速させる構えだ。
連結の営業利益率は世界の自動車業界で最高水準の10.8%の見込み。昨年春にスタートした中期経営計画「日産180」で、目標とした負債解消と営業利益率8%を1年目で達成した。
また、日米両国での販売増やコストの削減などにより、純利益は前期比33%増の4950億円と、前期に続き過去最高を更新。売上高10.6%増の6兆8500億円を見込んでいる。
04年3月期は、売上高を7兆4500億円とさらに伸ばし、純利益は横ばいの4950億円を予測している。《共同通信》
【東京都・石原慎太郎知事】2期目スタート
2期目を迎えた東京都の石原慎太郎知事は23日の記者会見で、首都圏の8都県市で進めてきた広域行政について、引き続き連携を強化していく考えを示した。
知事は統一地方選で、千葉県の堂本暁子知事が都知事選の対立候補を応援したり、神奈川県で松沢成文知事が誕生したことに関連し「堂本さんや松沢さんも(広域行政については)同じ考え方。選挙で変わるものでもない」と述べた。
知事は、小泉純一郎首相が排ガス規制を検討していることについて「やらないより、やると言ってくれた方が結構。どこまで本気かただした上で、わたしから総理あてに念押しの文書を送る」と話した。
2期目の課題として知事は首都の治安回復を強調。前日、警視庁が歌舞伎町で実施した一斉取り締まりを取り上げ「ほかにも池袋とかで無国籍現象というか日本の国籍が失われた状況がある。(治安回復は)徹底してやる」と話した。《共同通信》
【ザ・グレート・サスケ氏】小沢氏訪問
自由党の推薦を得て岩手県議選で初当選した覆面レスラーのザ・グレート・サスケ氏(33)が23日、東京・赤坂の同党本部を訪れ、小沢一郎党首に当選報告をした。
小沢党首を尊敬しているというサスケ氏は、やや緊張気味。笑顔で迎えた小沢党首から「政治家としての真価はこれから問われる」と激励されると、「はい」とかしこまった。
報告後、サスケ氏は報道陣に「小沢党首のポリシー(政策)を勉強して吸収したい」と話し、リングに加え議場でも奮闘を誓った。《共同通信》
【政界談話室】
○・・・民主党の枝野幸男政調会長は23日の記者会見で「有事対案が一部の人の期待に反して成立した。ともかく、前向きにいい案ができた」と、党内左派の反対を乗り越え、ほっとした表情を見せた。しかし「与党の有事法案を丸のみしていい」とする右派の説得も課題に浮上しているだけに、「与党にこれ(対案)をのみ込んでもらい、修正の上、成立するようにしてもらいたい」とも。党内融和に向けた切り札は、皮肉にも与党の協力ということのよう。《共同通信》
【野党4党】松浪氏の辞職勧告案提出
民主、自由、共産、社民の野党4党の国対委員長らは23日午後、衆院議長公邸で綿貫民輔議長に会い、秘書給与を暴力団組員(当時)が会長を務める建設会社に肩代わりさせていた保守新党の松浪健四郎衆院議員に対する議員辞職勧告決議案を提出した。
野党は24日の衆院本会議で決議案を採決するよう求めているが、与党は応じない姿勢で、政治倫理審査会で松浪氏の弁明を受ける方針。
民主党の野田佳彦国対委員長らは綿貫議長に「暴力団と関係した松浪氏は速やかに議員辞職すべきだ」と早期議決の必要性を強調。議長は「議員本人のモラルと、所属政党の責任は重大だ」と指摘しながらも「辞職勧告しても辞めないケースが続いている。決議案の提出が相次ぐと政争の具になりかねない」と述べ、政倫審で松浪氏の弁明を聞く必要があるとの考えを示した。
決議案は、松浪氏が(1)会社会長が組員と分かった後も、肩代わりを受け続けた(2)約275万円の寄付を受けながら、政治資金収支報告書に記載しなかった(3)指名手配中の組員の依頼を受けて大阪府警に捜査状況を照会した−と指摘。
その上で「政治家として最低限必要な倫理観の欠如を露呈させたことは、国民の政治不信を一段と強めただけでなく、衆院の権威と名誉を著しく失墜させた」として議員辞職を勧告している。《共同通信》
【米国】北朝鮮に核開発放棄を要求
北京で始まった北朝鮮の核問題などをめぐる米朝中の3カ国協議は23日午後、初日の協議を終えた。日本政府関係者によると、米国は北朝鮮に核開発を検証可能な方法で放棄することを要求、北朝鮮は昨年、米朝高官協議で表面化した高濃縮ウランによる核開発計画は「あるともないとも言えない」と応じ、明確な返答を避けた。米国に敵対政策転換と体制保証も求めたようだ。
今後の協議への日韓の参加問題について、北朝鮮は「核問題は米朝で解決する問題」との従来の立場を崩さなかったとみられ、協議は主に米朝の主張をぶつけ合う形で進んだ。中朝の二国間協議も予定されていたが、中止になったという。
協議について、米国首席代表のケリー国務次官補は「何も話すことはない」と話し、北京の米国大使館は「24日も協議を続ける」とだけ明らかにした。中国の華僑向け通信社、中国通信社(電子版)は消息筋の話しとして、3カ国が自国の立場を表明し、突っ込んだ意見交換をしたと伝えた。《共同通信》
【党首討論】
小泉純一郎首相は23日午後、今国会3度目の党首討論で、北朝鮮の核問題などをめぐる米朝中3カ国協議に関し「この話し合いが途切れないで継続し、いずれ近いうちに日本と韓国を入れた協議が行われるように働き掛けていきたい」と述べ、日韓が加わった形での協議が早期に実現するよう努力する意向を表明した。
イラクの大量破壊兵器保有疑惑で国連査察団の早期再開を求めが出ていることについては「査察できる状況になれば、査察団が入るのが望ましいが、当面治安状況などで困難。査察団も今の状況で査察することは適切でないと思っていると思う」と述べ、時期尚早との認識を示した。
米復興人道援助室(ORHA)への要員派遣に関して、首相は米側から要請がなかったことを明らかにした上で「復興支援が始まる前から日本の考え方を反映させる点で望ましい」と述べた。
暴力団組員(当時)に、秘書給与を肩代わりさせていた保守新党の松浪健四郎氏の進退問題については「(松浪氏が)衆院政治倫理審査会で説明したいと言っており、まずは聞くことが必要。その後どう判断するか。出処進退は本人が決めるべき問題だ」と述べ、政倫審の結果を見守る考えを示した。
小泉内閣が2年を迎えることに関連し、民主党の菅直人代表は「景気回復どころか株価は半値近くまで下がった。自民党はぶっ壊れるどころか、後釜を探しながら政権のたらい回しを考えている」と批判。首相は構造改革が進んでいると強調し「どこを見ているのか。(菅氏の目は)いかに節穴かと思う」などと反論した。
菅氏のほか、共産党の志位和夫委員長、社民党の土井たか子党首への答弁。《共同通信》
【新型肺炎】北京市、全小中高校が休校へ
北京市教育委員会関係者は23日、市内のすべての小中学校と高校で24日から2週間、休校とする通知を出したことを明らかにした。新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の拡大が続く中、学校内で感染者が広がるのを防ぐのが狙い。
北京の日本人学校も23日、運営理事会を開いて2週間ほどの臨時休校を決める方針。北京では大学も事実上の休校状態になっている。
通知によると、小中高校の休校措置は5月7日まで。地方では内モンゴル自治区のフフホト市が既に同様の措置を取っているが、首都北京での全面的な休校は中国の教育現場でも新型肺炎に対する深刻な懸念が広がっていることを示している。
中国紙によると、市内の小中高生は計170万人。休校期間中は校内での補習授業も禁止、授業再開後も当面は児童・生徒の欠席に配慮し、新たな課程に進まず、復習を中心とした授業にして、集団活動なども自粛するよう求めている。
日本人学校には小中学生計460人が在籍しているが、家族を一時帰国させる北京駐在の日本人ビジネスマンが相次ぎ、48人の児童・生徒が帰国中という。《共同通信》
◇
新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染が拡大している中国と香港で23日、死者が計200人を超え、在留邦人の帰国ラッシュの動きが加速、日本人学校が休校を決めるなど、現地の日本人社会にも動揺が広がっている。
新型肺炎の感染拡大を受け、世界保健機関(WHO)は23日、新たに中国の北京と山西省、カナダのトロントの計3地域への渡航延期を勧告した。4月2日に中国の広東省と香港への渡航延期勧告を出して以来、初の拡大措置で、これにより渡航延期の対象は計5地域となった。
中国衛生省の23日の発表によると、新型肺炎による死者は106人、感染者は2305人に達した。香港の衛生当局は同日、新型肺炎の死者が105人に、感染者が1458人になったと発表した。
北京日本人学校(小中学生計460人)は、24日から来月9日まで臨時休校とすることを決定。香港に続き北京でも駐在員を引き揚げる日系企業が出始めている。
中国では計31の直轄市、省、自治区のうち、23日までに20地区で新型肺炎の発生が報告された。内陸部でも急激な感染拡大の恐れが指摘されており、感染をいかに食い止めるかが重要な課題として浮上している。新華社電によると、温家宝首相は23日、国務院内に新型肺炎の予防治療指揮部(対策本部)を設置することを決めた。《共同通信》
【MLB】
米大リーグ、ヤンキースの松井秀喜選手は23日のエンゼルス戦で3試合、17打席ぶりに安打を放った。松井は第5打席まで遊ゴロ、三ゴロ、中飛、遊飛、中飛と精彩を欠いたが、九回二死一塁で中前打。6打数1安打で打率は2割6分7厘。試合はヤンキースが9−2で勝ち、7連勝。
マリナーズのイチロー外野手はインディアンス戦で4打数1安打。打撃内容は遊飛、二ゴロ、左前打、遊ゴロで、打率は2割7分1厘。長谷川投手は八回二死一、二塁で登板し、打者1人を抑えた。マリナーズが4−0で快勝。
メッツの新庄外野手はアストロズ戦の八回表から中堅の守備に入ったが、打席は回ってこなかった。試合はメッツが4−2で勝った。《共同通信》
【この日の民主党】
中島章夫参院議員が初登院
小宮山洋子参議院議員が衆議院東京6区補欠選挙に立候補し失職したため繰り上げ当選となった民主党の中島章夫氏が23日、国会に初登院した。
中島氏は、大阪府出身で67歳。東京大学文学部卒業後、文部省に入省し、大臣官房審議官などを務めた後、1993年に旧日本新党から衆議院選挙に立候補して当選。第一次橋本内閣では環境政務次官も務めた。
[個人情報特]防衛庁の目的外利用の実態浮き彫りに
衆議院の個人情報の保護に関する特別委員会で23日、防衛庁が自衛官募集にあたり、住民基本台帳から適齢者情報を抽出するよう市町村に要請し、提供を受けていた問題について集中審議が行われた。民主党・無所属クラブから、中村哲治、細野豪志の両議員が質問に立った。この問題では、住基台帳法で閲覧できる4情報(氏名、住所、生年月日、性別)以外に、自治体によって世帯主氏名、本人の続柄、健康状態、技術免許などの記載が見られることが明らかになっている。
民主党が求めた自衛隊地方連絡部と自治体との間で作成している情報提供の実態調査報告書をもとに、中村議員は質問。全国すべての内容を調査したものだとする防衛庁の宇田川人事教育局長の答弁を得た上で、中村議員はこの調査以外にはないかと念を押し、「これ以外の情報はない」とする答弁を引き出した。
中村議員は法的根拠をめぐって、知事と市町村長は「政令で定めるところにより自衛官募集に関する事務の一部を行う」とする自衛隊法97条と、首相は「自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、知事または市町村長に対し必要な報告または資料の提供を求めることができる」とする同令120条の問題を取り上げ、「120条に基づけば、自衛官の募集に関し必要があると認めるときならば、法的にはどんな情報でも出せると言うことか」と質問。それに対し宇田川人事教育局長は「自衛官の募集に関し必要があると判断されれば、提出を求めることは可能だ」と答弁。石破防衛庁長官は「必要でない情報はとれない、とらない。それは必要ではないからだ」などと逃げの答弁をしたが、中村議員は実際に世帯主氏名、筆頭者、本人との続き柄、郵便番号、電話番号、職業などが記載されていたことを明示した上で、住基台帳法で閲覧できる4情報以外であっても提出を求めることができる事実を問題視し、何ら制約もないことを指摘した。
また中村議員は、自衛隊の受験希望者の住所確認を防衛庁が警察に依頼している点を問題視した。宇田川人事教育局長は「合格通知等が円滑に送付されるよう住所を確認している」などとする答弁を繰り返し、中村議員は「公務員等についても条件は同じはず。合理的な理由とはいえない」と指摘。実際の調査法についても宇田川局長は明らかにしなかった。
続いて質問に立った細野議員も報告書内容に沿って、「提供情報の電子化の有無」に関して17の地連が情報は電子化し、30は行っていないとする報告に疑問を呈した。細野議員は「データを収集した目的は広告・資料を学生等にDMで送付するためとされているが、電子化していないとする情報は手書きでDMを出したのか」と指摘。宇田川人事教育局長は「(宛名用に)ラベル化しているかもしれない」などと答弁し、「提供情報の電子化の有無」とされた調査報告書の根拠があいまいであることが浮き彫りになった。
また、細野議員は、中村議員の質問に対して、報告書は防衛庁の求めに応じて提供された全国すべての情報について網羅したものだと胸をはった宇田川人事教育局長の答弁に言及。細野議員は石川地連作成の「自衛官募集事務の手引」を例に、報告書の調査対象は平成12年版にすぎず、それ以前の内容は何ら把握していないずさんな実態を明らかにし、細野議員は「調査報告書は法違反がないことを立証できていない」ときびしく指弾した。
続いて細野議員は片山総務相に質問。片山総務相が住基の情報の取扱いをめぐって、「住基のデータはきっちり守る。情報提供にあたっては、法律で定められたもの以外は出さないので安全」と一貫して主張してきた点を確認。その上で細野議員が「『首相は自衛官の募集に関し必要があると認めるときは、知事または市町村長に対し必要な報告または資料の提供を求めることができる』とする自衛隊令120条の前では、住基の情報を出せるということか」と追及。片山総務相は「法律に基づく政令だ」などと答弁した。
細野議員は行政機関がもつ情報の目的外利用に関して大きな穴があることに改めて言及。また個人情報取扱い業者に対して極めて強い勧告・命令権をもつことになる主務大臣が、現場の例外規定等さえも把握していない実態が今回の問題を通じて明らかになったことを指摘し、質問を締め括った。
4野党、松浪議員の議員辞職勧告決議案を提出
民主党の野田佳彦国会対策委員長はじめ野党4党の国対委員長は23日、指名手配中の暴力団組員が経営する会社から秘書給与の肩代わりを受けるとともに、同組員に関する捜査情報を警察に問い合わせるなどしていた保守新党の松浪健四郎衆院議員の議員辞職勧告決議案を綿貫衆院議長に提出。24日の本会議で採決するよう求めた。
松浪議員は衆院政治倫理審査会での弁明を申し出ているが、民主党は政倫審が本来、不当な疑いを受けた議員の釈明の場であることから、事実を認めている松浪議員の場合はなじまないと指摘。予算委員会での参考人招致こそがふさわしいと主張している。
[次の内閣]24日の臨時閣議で緊急事態法制決定へ
民主党『次の内閣』(ネクストキャビネット)は23日、閣議を行い、緊急事態法制 について協議を行った。閣議で前原誠司・緊急事態法制プロジェクトチーム座長は、「緊急事態への対処及びその未然の防止に関する基本法案(仮称)」と政府の武力攻撃事態法案に対する修正案を、全議員参加の合同会議で議論を重ねて取りまとめたことを報告。翌日に開催される『次の内閣』臨時閣議において最終的な結論を出すこととなった。
また閣議では、イラク復興人道支援についても協議。「復興人道支援室」(ORHA)を通じた文民による協力に対する考え方として前原座長は、1.イラク問題に対しては、武力行使によらない平和的解決を訴えてきた、2.ブッシュ政権等が国連安保理での解決を放棄し、武力行使に至ったことは断じて容認できない、3.国連や地域諸国が中心となったイラクの復興を働きかけていくべきである、などの基本認識を提起。それらを踏まえ、食糧難や電力不足、医療の支援等に対して、ORHAを通じた文民による協力に主体的に取り組んでいくべきであるとの考え方を示し、了承された。
さらに個人情報保護法制についての協議では、自己情報のコントロール権に関する明確な規定がないこと、目的外利用についてチェックする機関がない等の理由から、政府原案には反対の姿勢をとることを決めた。なお修正については、最終的に野党4党の枠組みの中で、担当大臣、政調会長等に一任する形となった。
法案審査は8本について行い、以下の通り賛否を決めた。
○ 使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約・・・・・賛成
○ 国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約・・・・・賛成
○ 自動車安全運転センター法の一部を改正する法律案・・・・・反対
○ 農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案・・・・・賛成
○ 小規模企業救済法の一部を改正する法律案・・・・・賛成
○ 農業災害補償法の一部を改正する法律案・・・・・賛成
○ 国際民間航空条約改正議定書・・・・・賛成
○ 特定通常兵器使用禁止制限条約改正・・・・・賛成[党首討論]菅代表、小泉政権2年間の不毛を厳しく総括
今国会3度目の党首討論が23日に行われ、民主党の菅直人代表は、小泉政権の内政・外交にわたる政策的行き詰まりを厳しく追及した。主なやりとりは以下の通り。
●松浪議員問題
菅 保守新党の松浪健四郎議員が暴力団員が会長をする企業からヤミ献金を受けていた。しかも、当初は組員だと知らなかったが、それが分かった後も受け続けていた。さらには、その人が指名手配を受けたときに、警察に捜査状況を問い合わせた。これに対して、保守新党の扇大臣、元保守党党首は、「やはりきちんとけじめをつけるべきだ」と言われた。私たち野党も、今日、国会議員として辞任勧告決議案を上程する。総理は、与党の一員であるこの松浪議員に対して、けじめをつけるべきだと言うのか、いや必要ないと言うのか。
小泉 松浪議員は政治倫理審査会の場に出て説明したいと言っている。まずは、聞くことが必要だと思っている。
菅 結局総理は、政倫審に出るまではそのまま議員を務めてもいいと。そういう保守新党とともに、(衆議院・参議院の)補欠選挙も戦うということだな。
小泉 議員本人のことは議員個人が一番よく知っている。出処進退は本人が決めるべき問題だと思っている。
菅 本人は事実関係を認めている。総理は自分が都合が悪くなると歯切れが悪くなる。
●小泉政権2年間の総括
菅 小泉政権ができた時に、「構造改革なくして景気回復なし」「自民党をぶっ壊してでもやるんだ」という2つの言葉が国民に支持されてスタートした。しかし2年経った今日、景気回復するどころか株価は半値近くまで下がっている。自民党はぶっ壊れるどころか、そろそろ後釜を探して、政権のたらい回しを考えている。総理はこの2年間で具体的に成果が上がったと言えるものが一つでもあるか。
小泉 民にできることは民に任せよう、地方にできることは地方に任せよう、歳出も見直していこう、そういう方針が着実に進んでいる。
菅 具体的に。
小泉 郵政3事業民営化については、就任前は与野党ともに民営化に賛成する政党は一つもなかった。郵政公社化も、小泉内閣だから党の了解を得ないで法案を出した。自民党も最終的には協力してくれて、実質的に公社化になって、民営化の実質的な一歩が進んでいる。道路公団民営化もそうだ。どの政党が民営化が必要だと言ったか。私の内閣になってから初めてやった。そうしたら「不十分だ」と。国債30兆円枠も、「守れない、守れない」。じゃ、守った方がいいのかと聞きたい。民主党は30兆円枠を法律でしばれと言った。私は経済状況を見て柔軟に対応すると言ってきた。行財政改革、歳出改革、金融改革、税制改革、規制改革、着実に進んでいる。
菅 『ここまで進んだ小泉改革』という内閣府の冊子が届いたが、(改革の)13項目の中にどういう訳か、景気、雇用、財政改革などがまったく入っていない。一番中心に据えていた改革が一つも進んでいないことを示している。私の方で13項目を調べてみた。
1 国債30兆円枠 → とっくに突破
2 不良債権処理 → 2、3年で解消どころか増えている
3 ペイオフ解禁 → 2年先送り
4 郵政事業民営化 → 橋本内閣が決めた公社化をやっただけ
5 道路公団民営化と国費投入ゼロ → 民営化は不明確、国費は投入が始まっている
6 特殊法人の原則廃止と民営化 → 統合か独立行政法人化のみ
7 医療制度抜本改革 → 先送りで患者3割負担だけが先行
8 公用車への低公害車導入 → これだけ○
9 地方への税源移譲 → 財務相が反対でどうなるか
10 8月15日の靖国神社参拝 → 日にちを変えて参拝
11 公共事業受注企業からの献金禁止 → 与党案出ず
12 雇用機会の拡大 → 2年間で2百万人以上が雇用から離れる
13 株価 → 「一喜一憂せず」で半値に
ようするに、やったのは税金で公用車を買い替えたことだけだ。小泉 どこを見ているのか。
1 大胆かつ柔軟に対応するのが公約 枠を守れと言うのか
2 進んでいる
3 無理ない対応をしている 見送るなと言うのか
4 公社化は民営化の一歩
5 どうやってやるかはこれから
6 住宅金融公庫、石油公団の廃止は決まっている
7 診療報酬改定などもやっている
8 ──
9 三位一体の方針でやっている
10 毎年参拝している 8月15日に行けというのか
11 与党で今まとめている
12 5年間で530万人の雇用をつくる方針
13 たしかに下がっているが、悲観する必要なはい菅 これらは(総理が)国民に約束したこと。できなくなったら「大したことはない。悪いのは民主党だ」みたいなことを言っているが、問題をすり替えている。具体的な改革の成果は一つも出ていない。
●北朝鮮への対応
菅 今日からアメリカと中国と北朝鮮の3国の協議が始まった。中国が北朝鮮の核開発に反対していると言えば、これは大きな効果がある。私は今月の16日に胡錦濤主席に会って意見交換したが、「私たちは朝鮮半島の非核化を主張し、南北どちらの核開発も否定している」と語り、北朝鮮の核開発に反対である立場を明確にして協議に臨んでいる。大変重要なことだ。中国首脳と日本の首脳が会って話をすべきだと思うが。
小泉 いずれお会いしたい。
菅 電話でも会談していないのか。
小泉 していない。
菅 日本の戦後最大の安全保障問題とも言える北朝鮮の核問題において、中国がどういう態度を取るかは重要。まさに3国協議が今日から始まるという時に、なぜ総理が主席と会えないのか。
小泉 いずれ機会が来れば会えると思っている。心配していない。
菅 今会うことが重要なのだ。私は日米韓がワンパッケージで北朝鮮に提案を行うことを提唱した。韓国の盧武鉉大統領は「賛成だ」と言い、中国外相も「大変考えられた提案で同感だ」と評価してくれた。総理は北朝鮮の問題について練り上げた方針を持っているのか。
小泉 日朝平壌宣言を誠実に履行することが最も重要。
菅 宣言の後に、NPT脱退通告があり、国連査察団が追い返され、日本との交渉が断絶したのに、宣言の履行が基本方針なのか。北朝鮮が瀬戸際外交に踏み切ったことに対してどう対応するのか。昨年9月の時点で頭がストップしてしまったのではないか。考えられない。
小泉 日朝平壌宣言を評価しないとは驚きだ。
菅 なぜ中国の主席は、総理が会うことを希望しても、川口外相が訪中しても会わないのか。その理由は何だと思うか。
小泉 私が詮索する問題ではない。
●改革派知事の閣僚起用
菅 改革派の知事を分権推進の特命大臣に起用する考えはあるか。
小泉 現職の知事を起用する考えはない。
菅 総理も口先だけは改革派でも、実際には守旧派になったということだ。結局、内政においては何一つ成果が上がっていないし、外交においても自分としてのメッセージがないということを改めて確認した。
「小泉政権打倒なくして景気回復なし」菅代表
民主党の菅直人代表は、23日午後の党首討論の感想を記者団に問われて「小泉首相の答弁は徹底したすり替え、はぐらかしである。聞いていることに答えないで、聞いていないことを繰返し述べる、という典型的なものだった」と語った。
菅代表は、松浪健四郎議員問題、構造改革の具体的成果、北朝鮮問題への方針等、何れの質問ついても首相はまともに答弁できなかったと指摘。「これまでで、答弁のひどさが一番目立った党首討論だった」と批判した。菅代表はまた、総理をワンフレーズで喩えると、という質問に対し「『小泉政権打倒なくして景気回復なし』。小泉政権があり続ける限りは株価が上がらないし、景気回復もあり得ない」と語った。
「復興人道支援室」(ORHA)を通じての文民による協力に対する考え方 2003/04/23
民主党
1. 基本認識
* 民主党は、イラクの大量破壊兵器問題には、徹底的な国連査察の実施を通じた武力行使によらない平和的解決を訴えてきた。
* 民主党は、イラクに対し累次の国連決議を遵守し、とくに大量破壊兵器に関する疑惑を完全に払拭するよう強く求める一方、米国等に対し国連憲章に定める武力行使の原則に則り単独主義的な行動はとらないよう重ねて自制を促してきた。
* 民主党は、ブッシュ政権等が国連安保理での問題解決を放棄し、武力行使に至ったことは、断じて容認できない。しかし、フセイン政権が事実上崩壊した現在、政府は、イラク国民がこれ以上の災禍に見舞われることを回避するためにも、国連や地域諸国が中心となったイラクの復興を働きかけていくべきであると考える。
* 民主党は、イラクそして中東に平和と安定を構築するには、中東和平の前進が極めて重要と認識し、国連や関係各国に対し、中東和平のロード・マップの提示を政府が強く呼びかけていくべきものと考える。
* 日本は、シリア、ヨルダン、トルコなどイラクの周辺諸国の安定化に努め、アラブ諸国との関係を強化すべきである。同時に、「文明間の対話」の促進にイニシアティブを発揮するとともに、イスラエルの安全確保とパレスチナ国家の建設を側面支援し、このような信頼醸成への取り組みを通じて、国際社会と連携しつつ、中東の人々の自立と共生に向けた環境を作っていくべきである。
2. ORHAを通じての文民による協力等
* 民主党は、米軍等による占領行政に反対し、これに一刻も早く終止符を打ち、新たな国連決議をはじめ、国連の関与に基づく暫定政権がイラク国民により速やかに設置されるべきであるとの立場に立つ。
* 戦争による死傷者の発生、食料難や電力不足など、困難に直面するイラク国民を放置すべきではなく、人道的見地からも、イラクの復興支援には、医療支援等、出来ることから主体的に取り組んでいくべきであると考える。
* その際、在イラク日本大使館の再開等を通じ、早期に我が国の情報収集体制などを確立するとともに、国連をはじめとする国際機関や、フランス・ドイツ等を含めた諸国による国際協調、及びNGOとの連携を強化する中で、復興支援活動が取り組まれる体制の構築を積極的に働きかけていくことを政府に強く要請する。
* しかし、米国防長官の指揮下にある「復興人道支援室」(ORHA)による占領行政から、イラク国民による暫定政権の樹立、そしてこれが機能するまでに、現実的にはタイムラグがあるため、この間、日本のORHAを通じた文民による協力を現時点では、以下の諸点に留意し、実施することはやむを得ないと考える。
(1)日本からの協力人員は、日本政府の指揮命令系統に置くことを明確にし、オブザーバー参加等、出張の形式をとるべきこと。
(2)法的側面、とくに憲法9条で禁じる「交戦権」規定を慎重に解釈する見地から、「武力行使との一体化」との評価につながることがないよう協力人員は、文民に限るべきこと。
(3)協力人員の安全確保に万全を期すとともに、イラク国内情勢、とくに治安情勢を慎重に判断し、情勢如何によっては、速やかに派遣を中止すべきこと。
(4)ブッシュ政権のORHAに対する具体的方針や米英軍の関与のあり方、その期間等に関する見通し、日本からの協力人員の役割等について、政府が国民に説明責任を果たすこと。とくに、外務大臣は、協力人員の活動等に対し、定期的なレビューを行い、国会に報告を行うこと。《民主党ニュース》