平成3426日目
1998/05/26
この日のできごと(何の日)
【オウム裁判】林郁夫被告に無期懲役
地下鉄サリンなど6事件で殺人、殺人未遂などの罪に問われたオウム真理教元幹部の医師林郁夫被告(51)に対し、東京地裁は26日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。
地下鉄事件の実行犯とされる被告への判決は初めてで、他被告の公判にも影響を与えそうだ。これまでの主張からすると、検察、弁護側とも控訴せず確定するとみられる。
山室恵裁判長は判決理由で、地下鉄事件について松本智津夫被告(43)=教祖名麻原彰晃=を首謀者として共謀を認定。「世界でも類を見ない非人道的な犯行で、人間の尊厳を無視したもの」と非難し「極刑が当然の犯罪」とした上で、捜査当局も知らない段階で地下鉄事件への関与を供述した点を自首成立と認めたほか、深く反省、悔悟していると述べた。
さらに「被告は一貫して教団の組織や活動を詳細に供述し、教団上層部の逮捕などにつながり犯罪解明に多大な貢献をした。捜査段階から公判まで、極刑が予想される中、何らおくせず供述を続けた」と指摘。
林被告が松本被告の指示に従った事情について弁護側主張を一部酌み「なまじ純粋な気持ちを持っていただけに松本被告のうそを見抜けず、指示に抗しがたかった。松本被告は被告の信仰心に付け入って利用した」とした。また遺族の一人が法廷で「一生刑務所で罪を償ってほしい」と証言するなど、極刑を望んでいるとは言えないと述べた。
その上で「犯罪自体は極刑以外の結論があるはずないが、被告の事情を考えると死刑だけが正当な結論とは言いがたく、無期懲役も刑事司法の一つの在り方として許されないわけではない」との考えを示した。
林被告は地下鉄事件のほか、公証役場事務長Kさん=当時(68)=の逮捕監禁致死、元信者監禁や麻酔剤密造などの事件でも起訴され、起訴事実をすべて認めていたため、主要被告の中では最も速く審理が進行した。検察側は、3月2日の論告で、自首のほか、遺族が極刑を望んでいない証言をしたことなどを挙げて死刑求刑を避けた。《共同通信》
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【阪神・川尻哲郎投手】ノーヒットノーラン達成
阪神の川尻哲郎投手(29)は26日、倉敷マスカットスタジアムで行われた中日9回戦で、プロ野球66人目(77度目)、両リーグを通じて今季初のノーヒットノーランを達成した。セ・リーグでは昨年9月2日の石井一久投手(ヤクルト)以来で28人目。
川尻は変化球を主体に低めを突き、コーナーを丁寧に投げ分けた。安定した投球は最後まで乱れず、奪った三振こそ1つだったが、中日打線を三ゴロ失の走者1人と、2四球だけに押さえ込んだ。《共同通信》
【橋本龍太郎首相】政権継続に意欲
橋本龍太郎首相は26日夜、都内のホテルで自民党の参院国会対策委員会メンバーと懇談した。首相が「夏の参院選は命がけで戦う」とあいさつしたのに続き、村上正邦参院幹事長が「竜が雲を昇り、あらしを呼ぶような勢いで参院選で勝利を収めよう」と乾杯の合図をとった。
首相は出席者を相手に「「何とか単独過半数を取りたい」と述べ、参院選後の政権継続に意欲をにじませる場面もあった。《共同通信》
【中国】周辺事態めぐり日本批判
中国外務省の朱邦造・報道局長は26日の会見で、外務省の高野紀元・北米局長が衆議院外務委員会で周辺事態(有事)に台湾海峡が含まれるという趣旨の発言をしたことについて「中国への公然たる内政干渉に強烈な怒りを覚える。「日本政府に釈明するよう厳しく申し入れた」と批判した。
高野発言をめぐって中国政府の当局者が日本を批判したのはこれが初めてで、この問題は日中間の外交問題に拡大してきた。9月の江沢民国家主席の訪日に影響を及ぼす事態も考えられる。
中国中央テレビ記者の質問に対し報道局長は用意のメモを見ながら「日米防衛協力をめぐってほ(中国への)内政干渉にならないよう要求し、日本政府と日本の指導者は、協力範囲は拡大せず、第三国に向けたものではなく、地理的概念ではないとの立場を繰り返し表明してきたが、今回の発言はこうした約束に矛盾するばかりでなく、明らかに中日共同声明の原則に違反している」と激しく批判した。
外務省の柳井俊二事務次官は25日の会見で「周辺事態は地理的概念ではない」との従来の立場をあらためて表明、高野局長も22日の答弁で周辺事態と安保条約の関係について「極東とその周辺を越えることはない」とすると同時に、1960年の政府統一見解を引用して「極東に限定されるものではない」と述べ、地理的問題ではないことを指摘したが、こうした発言は中国国内では報道されていない。
高野局長の発言については23日に新華社が「有事に台湾が含まれると日本政府当局者が初めて表明」と論評なしで報道した。《共同通信》