平成769日目

平成3年2月15日(金)

1991/02/15

【湾岸戦争】イラク、クウェート撤退を表明

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イラク革命評議会(議長・フセイン大統領)は15日午後2時半(日本時間同8時半)、国営イラク放送を通じて声明を発表し、国連安全保障理事会決議660(1990年)に基づき、クウェートからの撤退を含む政治解決を目指すため、交渉を行う用意があると述べた。先月17日の湾岸戦争発生以来、フセイン政権が占領中のクウェートからの撤退問題に公式に言及したのは初めてで、戦争は新たな局面を迎えた。

これまで一貫して「徹底抗戦」を叫びながら、多国籍軍の連日の空爆に十分な反撃を加えられずにいること、この日の発表が得意とする地上戦開始前に行われたことなどの全般的軍事状況から判断すると、イラークの声明は事実上の停戦申し入れとみられる。

ブッシュ米大統領は同日の演説でこの声明について、条件が付けられているとして拒否する姿勢を示している。イラクが660決議受け入れに言及したことは画期的だが、情勢はなお不透明であり、具体的な戦争終結につながるかどうかの見通しは立っていない。

しかし、クウェート撤退に関し、イスラエル・パレスチナ紛争の平和的解決をリンケージ(連関)させ、条件付き撤退を打ち出しているため、当面の停戦と反イラク陣営の切り崩しを狙ったフセイン大統領の巧妙な政治工作の一環との厳しい見方もある。

国連安保理決議660はイラクのクウェート侵攻に対する非難決議で、イラク軍の即時撤退、イラク・クウェート両国による話し合いによる解決を求めたものである。今回の革命評議会声明はこれを基礎に政治的和平交渉に臨む姿勢をみせているが、同評議会はクウェート撤退の条件として①湾岸地域からの多国籍軍の撤退②アラブ占領地域からのイスラエルの撤退ーなどを挙げた。



【米・ブッシュ大統領】イラクの条件付き撤退を拒否

ブッシュ米大統領は15日午前(日本時間同日深夜)、全米高等科学協会の会合で演説し、イラクのクウェート撤退方針の声明について「受け入れられない条件に加えて新条件も含まれており、ごまかしだ」と非難した。また多国籍軍を構成する各国と連絡した結果、新しいことは何もないことを確認したとし、イラクの無条件完全撤退まで戦争を続行する方針を明確に表明した。

大統領は「流血を停止させるもう一つの方法」として、イラク軍とイラク国民によるクーデターなどで、フセイン政権の打倒を呼び掛けた。ブッシュ大統領が一歩も譲歩しない姿勢を示したことで、多国籍軍の空爆は続行される一方、地上戦の開始時期が慎重に検討されることになろう。

大統領は演説で「最初に声明を聞いた時は、サダム・フセイン(イラク大統領)が本当に無条件で撤退することになったと思い喜んだ」との感想を述べた。しかし結局は「イラク国民と世界の希望を打ち砕く残酷なごまかしであり遺憾だ」と指摘した。

声明を受け入れられないものにしているイラク側の条件として大統領は、「地域における他の問題とのリンケージ(連関)」を挙げた。これは特にパレスチナ問題を指しており、米国は当初から絶対に応じないとの立場をとってきた。また大統領はクウェート正統政府の復権を改めて主張しており、「国連決議の完全履行のため戦争を続行する」と強調した。

さらに大統領は「われわれはイラク国民とは何のいさかいもない。イラクが平和を愛する国の隊列に復帰することを望む」と述べた。開戦後、大統領がイラク軍と国民にフセイン政権打倒を呼び掛けたのは初めてで、イラク国民がどう反応するかが注目される。《共同通信》

【海部俊樹首相】湾岸自衛隊機派遣「当事国の了解が前提」

衆院予算委員会は15日午後、湾岸問題に関する集中審議を続行し、海部首相は避難民移送のための自衛隊機派遣問題について「当事国の了解がなければ派遣しない」と述べ、既に答弁している国際機関からの要請とともに、受け入れ国の了解が派遣の前提になるとの考えを明らかにした。

自衛隊機派遣に対する東南アジア諸国などの懸念について、池田防衛庁長官は「(途中で)給油に立ち寄ることに対する感触を探っているが、受け入れるという返事をもらっており、(今度の)任務について適切な判断をしていただきつつある。今後も理解が得られるよう努力する」と述べた。

午後は社会党の小沢克介、公明党の遠藤乙彦、共産党の東中光雄、民社党の中野寛成、進民連の楢崎弥之助の各氏が質問に立った。

東中氏は派遣される自衛隊輸送機に対し、武器や航空機などを防護するための武器使用を認めた自衛隊法95条が適用されるかどうかただした。これに対し池田長官は「適用される」として武器携行を示唆したが、武器の範囲については言及しなかった。

多国籍軍に対する90億ドルの追加資金協力が実行できない場合の影響を遠藤氏がただしたのに対し、中山外相は「日米安保条約の中で、国連への協力という責務を負っている。(実行できない場合)米国は条約上の責任はどうなっているのかと言ってきて、日米関係にとって不幸なことになる」として、日米関係の上からの追加協力の必要性を認めた。

小沢氏が自衛隊機派遣のための特例政令が「法律が委任している範囲を超えている」と追及したのに対し、池田長官は「湾岸危機での避難民輸送のような個別的、具体的な臨時応急措置が(法律の)外にある訳ではない」と合法性を強調した。《共同通信》

【政界メモ】出版社、コンビニなで切り

◯…15日、自民党有志議員が「子供向けポルノコミック対策議員懇話会」を結成。意気揚々と記者会見に臨んだ会長の麻生太郎氏は、持参したポルノ漫画を紹介しながら「ほら見て下さいよ。こんな内容のものが子供たちの間に出回っているんですよ」と憤ってみせた。

さらに大手が取り扱っていることをやり玉に挙げ「社長に出てきてもらって、こんなものを発行していることを知ってるかと聞きたいぐらいだ」「今は本屋よりコンビニエンスストアで売られているんだ」と、出版業界から流通業界までなで切り。

◯…海部首相はこの日、歳出削減による多国籍軍への追加支援90億ドル実現のメドが立ったためか、朝から久々に上機嫌。閣議前に記者団に対し「今日は冷えるね。冬だから仕方がないけど、あまり寒い日が続くと農作物にも影響があるだろうしなあ」と天候も気遣うほど。

このところ記者団から国会絡みの質問をされても「廊下でそんな話はできない」とピリピリして拒否することが多かったが、この日は予算委での答弁ぶりを「私自身、誠心誠意やっています」と自賛。「今日(の答弁)は一段と滑らかでは」と水を向けられても「いつも滑らなつもりだけど」と切り返す余裕もみせ、国際公約を果たせる安ど感をにじませていた。《共同通信》

【中日・落合博満内野手】「年俸解決へ調停を」

セ・リーグの川島会長は15日、沖縄でキャンプを張っている中日の宿舎で記者会見し、今季の契約が未更改の中日・落合博満内野手から年俸調停申請書を受理、今月28に調停委員会を開く準備を進めていることを明らかにした。

年俸契約に関して調停に持ち込まれるのは日本人選手としては初めてで、外人選手を含めると1973年のマックファーデン(阪神)に次いで2人目。

川島会長はこの日午後、中日の宿舎で落合から「年俸で球団と解決点が見いだせない。ぜひ調停してもらいたい」旨の文書を受理。その後、伊藤球団代表からも事情を聴き「両者の話から、これでは意見が一致しないと感じた」と語った。

調停委員会は吉国コミッショナー、川島セ、原野パ両リーグ会長で構成され、この日から30日以内に裁定を下すことになっている。調停委では伊藤代表、落合の2人も個別に事情を説明する。

落合は昨季の1億8000万円から9000万円アップの2億7000万円を要求。球団提示の2億2000万円とは5000万円の開きがあり、13日の交渉が決裂した。(金額は推定)《共同通信》



2月15日のできごと