平成1707日目

平成5年9月10日(金)

1993/09/10

【ハナ肇さん】死去

コミックジャズバンド「クレージーキャッツ」のドラマー兼リーダーとして活躍、多くの喜劇映画に出演した俳優のハナ肇さんが、10日午前7時3分、肝細胞がんによる食道静脈瘤破裂のため東京都三鷹市の杏林大付属病院で死去した。63歳。東京都出身。 8月13日朝、自宅で吐血し入院、検査で食道静脈瘤破裂と診断されていた。今年2月に大腸ポリープの摘出手術を受けたばかりだった。本人にがん告知はなく、最後まで胃かいようと知らされていた。

昭和20年、東京・新宿の工学院(現、工学院大学専門学校)卒業後、運転手などをしながら品川の進駐軍用クラブでドラムを学ぶ。幾つかのバンドに所属した後、30年に犬塚弘らとコミックバンド、クレージーキャッツを結成。後に谷啓、石橋エータロー、植木等、安田伸を加え、音楽とギャグを生かしたおしゃべりでステージや「シャボン玉ホリデー」「おとなの漫画」などテレビ番組の人気者になった。映画は、グループで「無責任」シリーズや「クレージー」シリーズに出演。

その後バイタリティーあふれる個性を山田洋次監督に買われ、39年の「馬鹿まるだし」など松竹の「馬鹿」シリーズ、「運が良けりゃ」「なつかしい風来坊」「一発」シリーズなどで好演。またテレビで使った「アッと驚く為五郎」が流行語となり、松竹「為五郎」シリーズにも出演した。 わき役としても「祭りの準備」「人間の証明」などで温かみのある持ち味を発揮。近年は「会社物語」に主演、最後の映画出演は平成4年10月公開の、ゲートボールをテーマにした東宝「勝利者たち」だった。平成3年、紫綬褒章を受章している。

ハナ肇さんが亡くなったとの知らせに東京・三鷹の杏林大付属病院には、10日朝からマスコミ関係者らが次々と駆けつけた。

ハナさんが所属する渡辺プロダクションの諸岡義明専務によると、ハナさんの容体が急変したのは8日夜から。最期は奥さんの葉子さんと娘二人、谷啓さん夫妻や桜井センリさんらクレージーキャッツのメンバーらにみとられ、笑ったような表情だったという。葉子さんは臨終間際も娘二人に「泣いちゃ駄目」と言い聞かせるなど、気丈な様子だったという。

病院ではハナさんの家族やクレージーキャッツのメンバーは報道陣の前にほとんど姿を見せなかったが、桜井センリさんは「今は気持ちが落ち着かないのでコメントは後にしてほしい」と話していたという。諸岡さんは「クレージーキャッツのメンバーでは植木等さんだけが北海道にいて間に合わず、心残りだったろう」と沈痛な表情だった。《共同通信》



【両国国技館】親方衆が“出動”

12日から始まる大相撲秋場所を前に相撲部屋の親方でつくる国技館自衛消防隊の訓練が10日、東京都墨田区の国技館で行われた。自衛消防隊は時津風親方(元大関豊山)本部長に春日山親方(元関脇逆鉾)ら22人。人工呼吸など応急救護訓練をした後、国技館で一斉放水のデモンストレーションをした。

応急救護訓練では、二人一組で人形を使い人工呼吸と心臓マッサージを交互に実施。人形の耳元で「もしもーし」と呼び掛けた後、親方が人工呼吸で覆いかぶさると大きな体で人形が見え国なくなるほど。春日山親方も消防隊員の「一、二、三」の掛け声に顔をちょっぴり上気させ、慣れない手つきで、取り組んでいた。《共同通信》

【警察庁】ゴールド免許導入決定

無事故、無違反ドライバーの運転免許証有効期間を従来の3年から5年に延長する道路交通法の一部改正法が来年5月に施行されるのに伴い、警察庁は10日、こうした優良運転者を他のドライバーと区別するため、免許証の有効期間欄の色を従来のブルーから金色に変えた「ゴールド免許証」とするなど、運転者に応じて3種類に色分けした免許証を交付することを決めた。実施は改正法施行日の免許更新時から。《共同通信》

【細川護熙首相】資産は13億円

細川首相ら21閣僚と同一家計の家族を対象とした細川内閣の閣僚資産が10日、公開された。閣僚本人の資産は共同通信社の調べによる「実勢価格」で、細川首相(日本新党)が13億円でトップ。2位は藤井蔵相(新生党)で8億7000万円、3位は4億7000万円の五十嵐建設相(社会党)だった。《共同通信》

【細川護熙首相】1兆円の社会資本整備

細川首相は10日の閣議後、近くまとめる景気対策に1兆円規模の社会資本整備を追加するよう、久保田経済企画庁長官や藤井蔵相など関係閣僚に指示した。

円高や冷夏の影響で景気底割れの懸念が強まっているため、規制緩和・円高差益還元策と併せ財政面からもてこ入れすることにした。16日にも政府の新たな経済対策としてまとめる。

首相は社会資本整備の指針として①規制緩和や円高差益還元に関係するもの②学校施設の地域開放や国立博物館、美術館の充実③高齢者や身体障害者にやさしい街づくりの3点を示した。

武村官房長官は記者会見で1兆円の社会資本整備の財源として「建設国債になる可能性がある」と述べ、建設国債を増発する考えを示した。首相は久保田経企庁長官らへの指示の中で「従来の景気対策では、公共事業の量に重点が置かれていたが、今回は質的な面に着目することが大事」と、近く打ち出す景気対策では一従来型の公共事業とは違う新たな社会資本整備に重心を移す考えを強調した。《共同通信》

【社会党委員長選挙】久保氏が出馬辞退

党内調整の難航で立候補届け出を1日延長するという異例な措置のとられた社会党委員長選挙は10日午後、久保亘委員長代行(64)が出馬を辞退し、村山富市国対委員長(69)が午後5時の締め切り直前に立候補を届け出た。これに伴い選挙は、小選挙区比例代表並立制に反対している反主流派が推し、9日届け出済みの翫正敏参院議員(46)との争いとなることが確定したが、主流派が候補を一本化したため、18、19両日に行われる投票で村山氏が当選することは確実な情勢だ。

村山、久保両氏は10日夕、党本部で記者会見し①並立制導入を柱とする政治改革の実現②一致して連立政権を擁護―などの決意を確認した「共同コメント」を発表。これにより細川連立政権の基盤を揺るがしかねなかった社会党の混乱が一応収拾され、政権の危機につながる事態は回避された。

久保氏の陣営は立候補して村山氏との選挙となった場合、地方組織の力関係でずしも勝算がなく、岩垂寿喜男氏ら党内の並立制度反対グループが「村山支持」の動きを見せたことから、党分裂、連立政権崩壊につながりかねないと判断した。このため久保氏の後見役である田辺前委員長が10日、水面下で村山氏陣営と接触し①細川政権を守り、並立制導入を含む政治改革実現に全力を尽くす②これに同意しない党内勢力とはくみしないーとの条件を提示。村山陣営がこれを受け入れたため山花委員長の調停に従う形で久保氏が出馬を辞退することになった。

また、これに先立ち10日昼、村山氏は新生党の奥田敬和衆院議運委員長らの立ち会いの下、首相官邸で細川首相と会談し「委員長選挙の結果どうなろうと連立政権に迷惑を掛けない」と約束した。しかし、委員長選挙をめぐる社会党の混乱は、並立制の是非をめぐる党内の対立が背景にあり、権限を失った山花政治改革担当相のバックアップ態勢を再構築できるかに焦点は移ることになった。《共同通信》

【政界談話室】

○…自民党の橋本政調会長は10日、官邸に細川首相を訪ね、景気対策を申し入れた。かつて自民党の旧田中派に所属した仲だけに、応接室では記者団を前に笑顔で握手。橋本氏が、「(官邸の)階段が高くなっちゃって」と、下野を嘆くと、首相は「何言ってんですか」と応じ、そろって執務室へ。入りしなにも「その辺から何か落ちてくるんじゃないだろうな」とおどけ、苦笑いを誘った橋本氏だが、会談後は記者団に「総理は黙って聞いていたよ」と答えただけ。改めて野党の立場をかみしめていた様子だった。

○…混乱が続いた社会党委員長選挙で、9日に立候補をし届け出た党内最左派の翫正敏参院議員の陣営はこの日「締め切りの延長は無効。当選を認めよ」と党本部に申し入れた。その後会見した常松裕志前衆院議員は「はっけよいで土俵際まで行ったら、土俵が1メートル向こうに行っていた」。党長老の重盛寿治選挙管理委員長が「社会党も地に落ちたものだ」と語ったことを披露、「信頼を回復するには、国民に分かりやすい党を築き上げなければならないのに。残念と同時にあきれてしまう」と怒りもあらわ。《共同通信》

【パレスチナ解放機構】自治宣言案を正式承認

チュニスで開かれて、いたパレスチナ解放機構」(PLO)の執行委員会(内閣)は10日夜、暫定自治宣言案とイスラエルとの相互承認文書を一括承認して三日間の討議を終えた。

イスラエルは先に宣言案の承認を閣議決定しており、執行委の機関決定で調印に向けたすべての手続きが完了した。13日にワシントンで調印が実現する。イスラエルとPLOはこの調印で共存への歴史的一歩を踏み出し、中東に新しい時代が訪れることになる。

調印式への出席者についてラボPLO情報局長は「最高レベルにしたい。アラファト議長の出席もあり得る」と述べ、だれが署名するかが焦点となってきた。局長は「新たな状況への対応を検討するため、占領地のパレスチナ人代表も参加して2週間以内にパレスチナ中央委員会(PCC)を開く」と発表した。

PCCはパレスチナ人の国会に当たるパレスチナ民族評議会(PNC)の代理機関。今回の執行委の決定の承認と、相互承認で議長がラビン・イスラエル首相に約束したパレスチナ国民憲章(憲法)のイスラエル敵視条項の無効を決定するとみられる。

PCCの後に、さらにPNCが開かれるかどうかは不明。《共同通信》

【モンデール新駐日大使】首相の侵略謝罪を評価

赴任を来週に控えた米国のモンデール新駐日大使は10日、地元ミネソタ州セントポールで正副コンビを組んだカーター元大統領とともに記者会見、細川首相が国会の所信表明で第二次大戦について侵略行為があったと謝罪したことについて「この発言で過去の障害に起因するさまざまな問題が解決する」と、高く評価した。

また、市場開放問題に関しては、細川首相や小沢一郎氏が日本を変革しようと決意していると指摘、日本の新連立政権の下で包括協議が進展し、日米関係が健全で強固であることを世界に示す方向に動くことを楽観視していると述べた。

大使は平和維持軍派遣に関して、現在の日本政府のガイドラインに満足していると述べ、強大な日本軍の復活は望んでいないことを強調した。《共同通信》



9月10日のできごと