平成1606日目

平成5年6月1日(火)

1993/06/01

【自民党】「政治改革」調整本格化

宮沢首相は1日、首相官邸で小渕派の小渕恵三会長と会談し、今国会での政治改革実現に協力を求めた。首相はさらに党内の実力者と意見交換する考えで、2日は三塚政調会長、渡辺前外相、佐藤総務会長とそれぞれ会談する。

自民党の梶山幹事長も1日、党内各派の事務総長を党本部に呼び、政治改革法案の処理では①安定政権につながる制度にする②党内に決定的な亀裂が入ることを避ける—との原則で対野党折衝に当たる方針を示し、党内の意見集約に協力を求めた。

党内調整が本格化する中で、政治改革推進本部の塩川本部長代理は記者団と懇談し、与野党の妥協案として「小選挙区比例代表並立制」を提案した。推進本部首脳が具体的な妥協案に言及したのは初めてで、今後、7日に予定されている推進本部総会に向け「並立制」が党内調整の焦点となろう。

梶山執行部は、9日の結婚の儀までに党内の意見集約を図る構えだが、今国会で改革実現を求める推進派と、妥協反対の慎重派の対立が激化の様相を見せており、調整作業に手間取りそうだ。自民党はまた、政治改革推進本部副本部長会議で、衆院政治改革調査特別委員会の野田毅筆頭理事が「瀬踏み」の形で野党側との意見調整に入ることを確認した。

副本部長会議では、塩川本部長代理が「もう時間がなくなってきた」として自民党側の妥協案を早急にまとめるよう要請したのに対し、梶山氏は「党内世論を見定める必要がある」と妥協案の絞り込みに慎重な姿勢を示した。梶山氏は各派事務総長との協議で各派ごとに所属衆院議員全員に①単純小選挙区制を貫く②妥協案として並立制ならよい③どのような妥協をしても、今国会で改革を実現する④現行中選挙区制のままでよいーなどの項目から選択させる意識調査を2日までに行い執行部に提出するよう求めた。

党内では、52議員(本人出席)が集まって「真の政治改革を推進する会」(代表世話人・石原慎太郎氏ら)を結成、「安易な妥協に反対。党議決定を堅持せよ」と気勢を上げた。これに対し「政治改革を実現する若手議員の会」の石破茂代表世話人らが「党議決定に固執するのは改革実現を否定するものだ」と強く反発する声明を発表。鯨岡兵輔、粕谷茂氏ら14人も「政治改革推進同志会」を旗揚げするなど、改革推進、慎重両派が入り乱れて活発な動きを見せた。《共同通信》



【自民党・真の政治改革を推進する会】旗揚げ

単純小選挙区制を柱とする政治改革4法案一括処理の自民党党議決定を堅持するよう求める「真の政治改革を推進する会」が1日午後、都内のホテルで旗揚げ。集会を開いた。羽田派を除く各派から本人52人と代理56人が出席した。

集会では、石原慎太郎氏が「選挙制度を変えるなら、これしかないと単純小選挙区制に決めた。これに代わる案はない。比例代表制の弊害は参院で実証されており、比例を合わせることには疑義がある」と小選挙区比例代表並立制などで野党との妥協を図る動きを批判した。

この日は石原氏(三塚派)のほか原田昇左右(宮沢派)、中尾栄一(渡辺派)、村岡兼造(小渕派)、志賀節(河本派)各氏を代表世話人に選び、今後、署名活動を進めることを確認した。

集会後、原田氏らが宮沢首相と梶山幹事長ら党三役を訪ね、党議決定を守っていくよう要請した。《共同通信》

【与野党国対委員長会談】党首会談の早期開催を

自民、社会、公明、民社4党は1日午前11時すぎから国会内で国対委員長会談を開き、野党側が今国会での政治改革の実現に向け早急に与野党党首会談を開くよう申し入れた。

これに対し自民党の瓦国対委員長は「自民党は単純小選挙区制党議決定しており、野党の共同修正案もまだ作られていない状況では、有力な果実を得られる党首会談は難しい」と述べ、現段階での会談に難色を示した。

ただ瓦氏は「野党案の骨格を見た上で党内で検討し、(会談開催の可否について)返事したい」と述べ、1日にも野党がまとめる修正案の行方を見守る考えを示した。

党首会談の趣旨について社会党の村山国対委員長は「各党首が政治改革についてどんな見解を持っているか明らかにする必要がある。会期末が近付き、どういう手順で決着をつけるか話し合うべきだ」と説明した。

一方、野党側は新たな妥協案として小選挙区定数275、2票制の「小選挙区比例代表連用制」の統一修正案の方針を固めており、1日午後の野党だけの実務者会談でまとめた後、衆院政治改革調査特別委員会の非公式協議で自民党側に提示する段取りだ。《共同通信》

【自民党・梶山静六幹事長】分裂回避原則に

自民党の梶山幹事長は午前の役員会で、選挙制度改革の妥協案作りについて①単独安定政権をつくることに一番意味を持つ選挙制度にする②党内の分裂を避ける—の2点を原則として党内調整を進める考えを明らかにした。

梶山氏は民間政治臨調の亀井正夫会長が自民党を批判し、妥協を促したことに触れ、「不愉快というか人格すら疑う。そういうところから出た案は、間違ったことにつながる」と反論、民間政治臨調提案の小選挙区比例代表連用制を批判した。《共同通信》

【宮沢喜一首相】中国外相と会談

宮沢首相は1日午前、銭其琛中国副首相兼外相と首相官邸で会談した。宮沢首相は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核拡散防止条約(NPT)脱退問題について「日本の安全にとって大変重要な問題だ」と強調。中国に対し核保有国の立場から北朝鮮に対し影響力を行使するよう求めた。

これに対し銭外相は「朝鮮半島の非核化を中国としても強く希望するとともに朝鮮半島の緊張緩和、安定路線の継続を心から期待する」と述べた。北朝鮮への働き掛けについては具体的には言及しなかった。《共同通信》

【宮沢喜一首相】ペルー・フジモリ大統領と会談

宮沢首相は1日午後、首相官邸でペルーのフジモリ大統領と会談した。この中で宮沢首相はペルーの民主化努力や国際通貨基金(IMF)への復帰を高く評価し「今後日本として最大の支援をすると表明。

具体的には(1)医療厚生サービス強化計画への22億4000万円の円借款供与(2)外貨公館などのための25億円の無償資金協力(3)食料増産援助7億円(4)文化無償協力5000万円、の合計約55億円の経済協力を約束した。《共同通信》

【政界談話室】

○…宮沢首相は1日、時短を盛り込んだ労基法改正案が2日に成立する運びとなったことについて記者団に聞かれ、「まあ、賛否両論あるんだけれども、生活大国の考えからいくと進めた方がいいんだろうな」とまるでひとごとのような口ぶり。「中小企業のことを考えると、こういう経済状態の時だから(時短は)やや苦しいんだけれども…」と、時短に消極的な中小企業との板挟みに悩む胸の内を吐露したが、政治改革の道筋もいまだに見えない中、看板政策にしている生活大国まで掛け声倒れに終わるのか。

○…後藤田副総理兼法相はこの日の閣議後会見で、前日夜に民放テレビで放送された「総理と語る」の番組の感想を聞かれたが、「見ていないから言えない」の一点張り。政治改革に熱意を燃やす副総理だけに、首相の決意を聞き逃すはずはない、と食い下がる記者団に「見ていないものはしょうがないだろう」と、にベもなくピシャリ。しまいには放送は夜中なのに副総理は「会合に出ていた」。与野党間の妥協で何とか今国会での改革実現を目指す副総理だが、自民党には依然、改革慎重派も多く、見通し不透明な現状にイライラが募る様子がありありだった。《共同通信》

【カンボジア総選挙】統一戦線、第一党確実に

二大政党の一騎打ちとなっているカンボジア総選挙は開票4日目の1日、ラナリット派の民族統一戦線が最大議席区の中部コンポンチャム州(定数18)でプノンペン政権の人民党の2倍近くを得票、南部カンダル州(同11)でも3倍近い票差で人民党を圧倒するなど、大票田での優勢が明らかとなった。この結果、民族統一戦線が接戦の末、第一党の座に就くのはほぼ確実になった。

これに対し、プノンペン政権は同日、ラジオ放送を通じて「人民党は今後、選挙結果を受け入れない」との強硬な声明を発表。総選挙後の和平プロセスが大きく揺らぐ可能性も出てきた。

同夜のプノンペン政権テレビなどが伝えたところによると、フン・セン首相は同日付で、ガリ国連事務総長にあて、首都など5選挙区でのやり直し求める書簡を送付した。また、市民に対し「平静を保つように」呼び掛けるなど「敗北」を予想し、政権や党内で動揺が広がっていることをうかがわせた。

国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の同日昼の発表によると、開票が遅れている南東部スワイリエン州を除く20選挙区での開票率は60%に達し、得票率は民族統一戦線41.3%、人民党37.2%となった。両党の差は前日以降、徐々に広がっている。

1日夜は全国での政党の得票率などは発表されなかったが、カンダル州などを加えると、民族統一戦線は得票率でさらに人民党を引き離しているとみられる。《共同通信》



6月1日のできごと