平成634日目

1990/10/03

この日のできごと(何の日)

【ドイツ再統一】

東西ドイツが3日午前0時、統一した。第二次世界大戦後45年に及んだ分断の歴史に幕を下ろし、欧州中央部に再生した統一ドイツは人口、経済力でも他の欧州諸国を圧倒する巨人となる。戦後史を塗り替えるこの統一により、欧州は新たな「大国」ドイツを軸とする秩序再編へ向けスタートを切った。

統一ドイツの首都となったベルリンでは2日夜から100万人を超える市民らがブランデンブルク門周辺に集まった。午前0時を期して、旧帝国議会議事堂前の共和国広場に黒、赤、金の三色のドイツ国旗が掲揚されると一帯は歓声や花火で興奮と熱気に包まれた。

コール首相らが見守る中、ワイツゼッカー大統領が統一ドイツの完成を宣言、統一ドイツは世界の平和と欧州の統合に尽力する、との決意を表明した。

昨年秋の東ドイツ民主革命、ベルリンの壁崩壊からわずか一年足らずで実現したドイツ統一は、東ドイツが3日午前0時を期して西ドイツに編入、消滅する形で達成された。統一と同時に、コール西ドイツ政権が、12月2日に実施される全ドイツ総選挙まで暫定的にドイツ全体を代表する。

さらに、統一議会となる西ドイツ連邦議会には東ドイツ人民議会議員400人のうち144人が新たに加わり、コール政権にも東ドイツ側からデメジエール前首相ら5人が無任所相として入閣することが決まっている。

新議会は4日、ベルリンの旧帝国議会に初の本会議を招集、コール首相が統一ドイツの初代首相として施政方針演説をする予定だ。14日には旧東ドイツに5つの州が復活し、ドイツは首都の座に返り咲いたベルリンを含め16州から成る連邦共和国の骨格を整える。

また第二次世界大戦の戦勝四大国(米国、英国、フランス、ソ連)がドイツ全体とベルリンに対し持っていた権利と責任を統一と同時に停止したことから、ドイツは完全主権国家の地位を回復、ベルリンの法的「占領状態」にも終止符が打たれた。

統一が実現した午前0時、コール首相、ワイツゼッカー大統領らが顔をそろえた旧帝国議会議事堂前の共和国広場に黒、赤、金のドイツ三色旗(国旗)が掲揚され、近くのブランデンブルク門、ウンターデンリンデン大通りから広場一帯など市内中心部を埋めた約100万人の市民は大声で国歌を合唱、ドイツの新出発を祝った。

これに先立ち、2日夜には東ベルリンのシャウシュピールハウス劇場で東ドイツ政府・人民議会主催の式典が開かれ、デメジエール首相が「われわれは希望に満ちた未来への門口に立っている」と演説、オーケストラがベートーベンの第九交響曲「歓喜の歌」を演奏し、消え行く東ドイツ国家に決別した。《共同通信》

ドイツ統一が完成した3日午前、新首都ベルリン市内のベルリンフィル・ホールで国家の公式記念式典が開かれた。一方、統一ドイツの初代首相となったコール首相は全世界の政府に向けてメッセージを送り、「国際社会で一層大きな責任を引き受ける。国連の平和維持活動にも、国内の条件を整備して参加する用意がある」と、統一ドイツが国際社会でより積極的な役割を果たしていく決意を表明した。

コール首相のメッセージは、ドイツの対外政策が世界とのパートナーシップ、緊密な協力と平和的な利害の調整にある、と述べた上で「ドイツの地からは、将来平和だけがうまれる」と、欧州の国境不可侵と今後いかなる領土要求もしないことを宣言した。

同メッセージはさらに「国家的統一と完全な主権を回復したドイツは、将来において国連が行う平和維持活動にその戦力を提供する用意がある。そのために必要な国内条件も整える」と述べた。

統一ドイツが継承した西ドイツ基本法(憲法)は武力の行使を防衛目的にだけ制限、その活動範囲も北大西洋条約機構(NATO)の防衛地域内に限定している。

連邦軍の域外派遣のため憲法改正も示唆したコール首相の発言は、イラクによるクウェート侵攻に対する国際的な軍事制裁行動に関連してこれまでもあったが、今回は統一ドイツの首相として全世界の政府に向けた発言として注目される。

一方、国家式典で演説したワイツゼッカー大統領は「ドイツのすべての国境は近隣諸国への架け橋になる」との決意を宣言した。式典は午前11時(日本時間同日午後7時)開会。ベルクマンボール旧東ドイツ人民議会議長(旧国家元首代行)ら東西ドイツの政府、議会関係者が参加した。《共同通信》

昭和64年1月1日〜このサイトをご覧頂いている日の一週間前まで、すべての日の「何らかの」できごとを記しています。

情報量が少ない日は随時加筆中です。

引用記事は名前、住所など一部修正の上、抜粋してあります。

外国の方のお名前、地名などは現時点で一般的に通じるものに書き換えています。(例・ロシアのプーチン氏はかつてプチン氏と表記されていました)

古い記事の多くは「書き写し」のため、誤字脱字が多数あります。見つけ次第修正しています。

このサイトについて

【夜のヒットスタジオ】最終回

【B’z】シングル「Easy Come, Easy Go!」発売

【大阪市西成区】労働者が暴徒化

大阪府警西成署の刑事が暴力団組長から現金をもらった事件に怒りを爆発させた大阪市西成区の通称「あいりん地区」の労働者らによる暴動が9月2日起き、3日夜になっても収まらず、同区萩之茶屋の西成署周辺にはやじ馬らが続々と詰めかけ一層エスカレートした。

3日午後7時ごろには、近くを走る阪堺電鉄阪堺線の路面電車に投石があり、乗客数人がけがをしたため、恵美須町ー住吉間で運転をストップした。

大阪府計警察本部は機動隊1500人を動員、午後9時現在、3人を公務執行妨害の現行犯で逮捕、24人を保護したが、警察官や報道陣を含む23人がけがをした。群衆は2日を上回り約1000人に膨れ上がり、騒ぎは夜中まで続いた。《共同通信》

【政界メモ】

〇…自民党渡辺派派の山口敏夫事務総長は3日、早大の大隈講堂で講演、約1000人の学生を前に熱弁を振るった。私は趣味で海部首相を批判しているわけではない」と前置した上で「首相とゴルバチョフ大統領のどちらが世界にとって重要な政治家か。片方(大統領)は支持率30%、首相は60%。国民のレベルを考えざるを得ない」「大統領はプロ野球の四番打者、首相は高校野球」と言いたい放題。

「あの人は運がいい。北方領土問題の扉を開くのは、大宰相だから安心して批判をしてしりをたたく」と結んだ。“海部降ろし”の急先ぼうもいよいよ首相の母校に乗り込む直接行動。

〇…税制問題両院合同協議会の専門者会議が国会内で開かれ、冒頭、社会党の伊藤政審会長が「本日をもって記録更新だ」と宣言。というのもこの日で13回目となった専門者会議は、昭和63年に売上税廃案に伴って自、社、公、民四党で構成された税制改革協談会の開催回数12回を上回ったから。

両方の会議に出席している伊藤氏が過去をひも解いていると、自民党の加藤政調会長が「十三回忌というのかなあ」と皮肉交じりにひと言。これには社会党の安恒参院議員が「葬式を出すのは早いよ」とすかさず反論。消費税問題を早く決着させたい自民と、引き延ばしたい社会の両党だけに、何かにつけていがみ合い?《共同通信》

【竹下登元首相、金丸信元副総理】不仲を否定

自民党竹下派会長の金丸元副総理と、派閥離脱中の竹下元首相を囲んで同派幹部13人が3日夜、都内の料理屋で久々に懇親会を開いた。会合は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、中国をそれぞれ訪問した金丸、竹下両氏の帰国報告を聞く名目で開かれた。

あいさつした金丸氏は、政界にまん延する金丸、竹下両氏の不仲説について「いろいろ雑音があり派内で心配を掛けているが、竹下とは長い間の同志であり、因縁に結ばれている。二人は切っても切れない超越した関係なので安心してほしい」と述べ、竹下氏との関係は盤石だと強調した。竹下氏も「その通りだ。二人は心同体だ」と応じた。

また、金丸氏は12日召集予定の臨時国会に関連して「国連平和協力法案は日本が国際的責任と正義を貫くため、絶対に通さなければならない」と述べ、派を挙げて同法案の成立に全力を挙げる考えを示した。竹下氏も賛意を示し「イラン・イラク戦争当時、国連の平和維持活動に貢献するために有事立法を考えたができなかった。責任は果たすべきだ」とし、同法案の成立を図ることは極めて重要だとの認識を表明した。《共同通信》

【海部俊樹首相】ヨルダン・ハッサン皇太子と会談

海部首相は3日夕、二番目の訪問国ヨルダン入りしたあと直ちに、アンマン市内の王宮でハッサン皇太子と約45分間会談し、海岸危機を中心に意見交奏した。

首相はイラクのクウェート侵攻による湾岸危機の解決に向けて「あらゆる国が対イラク経済制裁を厳守することが重要で、ヨルダンとして協議していきたい」と述べ、イラクと国境を接するヨルダンの事情に理解を示しながらも、西側諸国と同様、国連決議に基づく経済制裁に共同対処するよう強く要請した。

首相は「ヨルダンが経済制裁を厳守し続けることを期待して」との前提を付けて①中東貢献策として打ち出した20億ドルのうち商品借款1億ドル②ヨルダンの産業貿易調整計画に世界銀行との協調融資の形で1億5000万ドルの融資—の対ヨルダン経済協力を表明した。

首相は4日朝(日本時間同日午後)、イラクのラマダン第一副首相と会談するほか、フセイン・ヨルダン国王とも意見交換する予定で、中東歴訪の一つのヤマ場となる。

ハッサン皇太子は、日本側の協力に感謝の意向を表明し、たが、同時に、「ヨルダンが経済制裁を実施することによってどれだけの困難を経験しているかが国際的に理解されていない」と述べ、ヨルダンの置かれた厳しい状況への理解を求めた。

またハッサン皇太子は①武力による他国の領土取得は認められない②イラクのクウェート侵攻、併合を非難する③ヨルダンは経済制裁を厳守する—など六項目の基本的立場を説明した。《共同通信》



10月3日 その日のできごと(何の日)